健診集団試料を用いたMLXIPL Gln241His多型の適応的意義の検討

「緒言」 ヒトHomo sapiensは約10万年前にアフリカ大陸からの拡散を開始し, 数千年前までには地球上のほとんどの地域への進出を果たした. この拡散を成功させる上で, 多種多様な環境に生理的に適応する必要があったことは想像に難くない. ヒトの環境適応能の個人差や集団差の一部は, 遺伝的多型によって形成されている. ヒトの環境適応能を説明する遺伝的多型として, 紫外線強度への適応に寄与するメラニン合成関連遺伝子の多型群がよく知られているが, その他の環境適応形質に寄与する遺伝的多型はほとんど未知である. チベット高原はユーラシア大陸の中央部に広がる海抜4500m超の高原地帯で, およそ2...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本生理人類学会誌 2014/05/25, Vol.19(2), pp.63-67
Hauptverfasser: 中山, 一大, 宮下, 洋, 岩本, 禎彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」 ヒトHomo sapiensは約10万年前にアフリカ大陸からの拡散を開始し, 数千年前までには地球上のほとんどの地域への進出を果たした. この拡散を成功させる上で, 多種多様な環境に生理的に適応する必要があったことは想像に難くない. ヒトの環境適応能の個人差や集団差の一部は, 遺伝的多型によって形成されている. ヒトの環境適応能を説明する遺伝的多型として, 紫外線強度への適応に寄与するメラニン合成関連遺伝子の多型群がよく知られているが, その他の環境適応形質に寄与する遺伝的多型はほとんど未知である. チベット高原はユーラシア大陸の中央部に広がる海抜4500m超の高原地帯で, およそ2万5千年前にはヒトによる居住が開始されていたと考えられている. 同地域のような高地環境では, 気圧低下に伴う酸素分圧の低下が著しく, 全身の諸組織が深刻な低酸素状態を陥りうる. ヒトは低圧低酸素曝露に際して, 短期的には赤血球の増加で馴化するが, 赤血球の増加に伴う血液粘度の増大は, 小血管への酸素供給を阻み, 結果として慢性高山病のリスクとなりうる.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.19.2_63