高齢者の腰痛症者に及ぼす水中運動の影響

我が国では, 高齢化社会を迎え, ”健康”がクローズアップされるようになってきた. それに伴い, スポーツに対する社会的なニーズも変わってきている. 従来のような「やるからには勝つ」あるいは「自らの限界にチャレンジする」といった競技スポーツとは別に健康を目的としたスポーツ, リハビリテーションとしてのスポーツなども, これからの高齢化社会を考えた場合, 必要になってくるのではないかと思われる. そこで本研究では, 高齢者に多く見られる腰痛に着目した. 腰痛疾患は, 筋疲労, 筋力低下および不良姿勢などにより悪循環を起こすといわれている1),3). 近年, 整形外科的手術後の治療として, 水中運...

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Veröffentlicht in:日本生理人類学会誌 2000-08, Vol.5 (3), p.151-158
Hauptverfasser: 増本賢治, 赤嶺卓哉, 堀田昇, 藤島和孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我が国では, 高齢化社会を迎え, ”健康”がクローズアップされるようになってきた. それに伴い, スポーツに対する社会的なニーズも変わってきている. 従来のような「やるからには勝つ」あるいは「自らの限界にチャレンジする」といった競技スポーツとは別に健康を目的としたスポーツ, リハビリテーションとしてのスポーツなども, これからの高齢化社会を考えた場合, 必要になってくるのではないかと思われる. そこで本研究では, 高齢者に多く見られる腰痛に着目した. 腰痛疾患は, 筋疲労, 筋力低下および不良姿勢などにより悪循環を起こすといわれている1),3). 近年, 整形外科的手術後の治療として, 水中運動が用いられるようになってきた. 特に水の物理的特性には水温, 水圧, 抵抗, 浮力などがある. 水温により, 皮膚および体温調節機能が鍛錬される. 水流発生装置を用いたり, 温水プールで行うと温泉効果もあり, 鎮痛, 筋弛緩, 血行改善なども認められている4),5). 水中では, 水圧に対して呼吸し, 横隔膜や肋間筋といった呼吸に関わる筋が鍛えられるため, 肺活量などの呼吸機能が向上する1),3). 水中では水の抵抗により, 動作が速くなればなるほど, エネルギー消費量が指数関数的に増大する. また, 水中では浮力により体重が免荷され, 陸上運動のように腰・関節などに直接大きな重力がかからない. そして, 水中では重力の影響が少なく, 痛みを和らげて運動することが可能である. 陸上ではとりにくい姿勢であっても, 水中では容易にとれるという利点もある14).
ISSN:1342-3215