氷を使った咀嚼訓練の有効性について

【目的】急性期病院では,疾患の治療のための一時的な絶食や,摂食嚥下機能低下による咀嚼を伴わない嚥下調整食を食べることで,咀嚼機能の廃用リスクがある.生活期でも咀嚼を伴わない嚥下調整食を食べることによる咀嚼筋の筋萎縮や,サルコペニアなど,様々な要因が咀嚼機能の低下となる.そこで,氷を咀嚼訓練に用いることで,咀嚼機能の改善を図れないか考えた.本研究では,患者・利用者に氷を4週間咀嚼してもらい,訓練効果について検討した.【対象と方法】治療を終え病態が安定し,認知機能は保たれ,栄養摂取方法は経口のみで,咀嚼力の低下がみられた患者を対象とした.介入群19 名(男性13 名,女性6 名,平均年齢78.8±...

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Veröffentlicht in:日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 2020/08/31, Vol.24(2), pp.153-161
1. Verfasser: 片桐, 啓之
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】急性期病院では,疾患の治療のための一時的な絶食や,摂食嚥下機能低下による咀嚼を伴わない嚥下調整食を食べることで,咀嚼機能の廃用リスクがある.生活期でも咀嚼を伴わない嚥下調整食を食べることによる咀嚼筋の筋萎縮や,サルコペニアなど,様々な要因が咀嚼機能の低下となる.そこで,氷を咀嚼訓練に用いることで,咀嚼機能の改善を図れないか考えた.本研究では,患者・利用者に氷を4週間咀嚼してもらい,訓練効果について検討した.【対象と方法】治療を終え病態が安定し,認知機能は保たれ,栄養摂取方法は経口のみで,咀嚼力の低下がみられた患者を対象とした.介入群19 名(男性13 名,女性6 名,平均年齢78.8±13.6 歳),対照群11名(男性3 名,女性8 名,平均年齢83.6±8.9 歳)に分け,訓練前後で,咀嚼力測定用ガム,咀嚼能力測定用グミゼリー,咀嚼運動時の外部評価で評価を行った.介入群は1回の訓練で10個の氷(1.5~2 mL)の咀嚼を行った.1日,2回(午前・午後)週5回を4週間実施させた.対照群は,初回評価から4 週間後に再評価を行った.【結果】介入群の咀嚼力測定用ガム,咀嚼能力測定用グミゼリー,咀嚼運動時の外部評価で有意な改善を認めた.対照群はすべての項目で有意差は認められなかった.【考察】氷の咀嚼訓練を実施した介入群の咀嚼力測定用ガム,咀嚼能力測定用グミゼリー,咀嚼運動時の外部評価で有意な改善がみられ,対照群は咀嚼機能に変化がみられなかったことから,氷の咀嚼訓練による効果であると考えられる.氷を咀嚼訓練に用いることで,咀嚼機能の改善ができると考えた.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.24.2_153