非接触・無侵襲性の摂食嚥下機能評価装置を用いた苦みと喉頭運動の関係

【目的】ソフト食やペースト食が嚥下障害患者の食事に選ばれることも多い.しかし,これらの食事は,単なる形態の変化だけではなく味についても影響を与えるため,患者の嗜好と一致することは少ない.患者が楽しく,おいしく,安全に食事を続けていくためには,誤嚥の危険の回避とともに,食欲を増す食事の提供は必要不可欠である.そこで我々は,味覚による嗜好が嚥下機能に及ぼす影響について,喉頭挙上の動きを定量的に評価できる「非接触・無侵襲咽喉器官運動分析装置(NESSiE)」を用いて検討した.【対象】健常な成人ボランティア55 人(30 歳代11 人,40 歳代11 人,50 歳代12 人,60 歳代8 人,70 歳...

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Veröffentlicht in:日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 2015/04/30, Vol.19(1), pp.33-40
Hauptverfasser: 古内, 洋, 田畑, 恵太, 中島, 舞, 庄司, 俊雄, 河原, 仁志, 青木, 義満
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】ソフト食やペースト食が嚥下障害患者の食事に選ばれることも多い.しかし,これらの食事は,単なる形態の変化だけではなく味についても影響を与えるため,患者の嗜好と一致することは少ない.患者が楽しく,おいしく,安全に食事を続けていくためには,誤嚥の危険の回避とともに,食欲を増す食事の提供は必要不可欠である.そこで我々は,味覚による嗜好が嚥下機能に及ぼす影響について,喉頭挙上の動きを定量的に評価できる「非接触・無侵襲咽喉器官運動分析装置(NESSiE)」を用いて検討した.【対象】健常な成人ボランティア55 人(30 歳代11 人,40 歳代11 人,50 歳代12 人,60 歳代8 人,70 歳代13 人).【方法】事前に摂食支援回復食「あいーと」(イーエヌ大塚製薬株式会社製)全28 種類を試食してもらい,おのおのの被験者が最も好む食品を嗜好食品として使用した.検査は,椅子座位で体幹角度70 度,頸部は自然な状態で,視覚情報が味覚や咀嚼に影響しないようアイマスクを装着して行った.味のみを評価するため,嗜好食品と嗜好性を低下させるために同一食品に苦みを加えた食品をティースプーン1 杯ずつ口腔内に入れ,咀嚼や嚥下を自由に被験者に食べてもらった.嚥下時間は,嗜好食品と苦みを加えた食品の2 種類をランダムに3 回ずつ合計6 回食べ,おのおの3 回の嚥下時間の平均値を採用した.【結果】50 歳代以降はすべての年代で,苦みの加わった食品にて嚥下時間が有意に延長した.30 歳代と40 歳代では延長はみられなかった.【結論】苦みが,味覚ネットワークを通じて円滑な嚥下運動を行うためのプログラムに何らかの影響を与え,嚥下運動における舌骨上筋群の動きを阻害した可能性が示唆された.また,味などの嗜好による喉頭運動の差異は,加齢による嚥下機能の低下の一部であることも考えられる.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.19.1_33