2-P7-18 Wallenberg症候群の嚥下障害患者の嚥下圧の検討
【はじめに】 Wallenberg症候群の嚥下障害の要因は主に食道入口部の開大不全と言われている. しかし, 当院ではこれまでにWallenberg症候群の嚥下障害について, 舌根部の嚥下圧が嚥下に関与していると考えられた患者(2008年)および, 嚥下後に咽頭に残留した食塊を, 腔内に戻して再び嚥下する患者を報告した(2007年). これらの所見からWallenberg症候群の嚥下には舌根部の嚥下圧も大きく関与しているのではないかと考えた. そこで今回われわれはWallenberg症候群の嚥下障害患者の嚥下圧測定を施行し検討したので報告する. 【対象】 2008年1月から2009年1月までの...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.633-633 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】 Wallenberg症候群の嚥下障害の要因は主に食道入口部の開大不全と言われている. しかし, 当院ではこれまでにWallenberg症候群の嚥下障害について, 舌根部の嚥下圧が嚥下に関与していると考えられた患者(2008年)および, 嚥下後に咽頭に残留した食塊を, 腔内に戻して再び嚥下する患者を報告した(2007年). これらの所見からWallenberg症候群の嚥下には舌根部の嚥下圧も大きく関与しているのではないかと考えた. そこで今回われわれはWallenberg症候群の嚥下障害患者の嚥下圧測定を施行し検討したので報告する. 【対象】 2008年1月から2009年1月までの間に, 当科で嚥下造影検査(以下VF検査)時に嚥下圧測定を行ったWallenberg症候群の患者4例. 内訳:すべて男性, 平均年齢68歳. 【方法】 当科で開発した, 画像同期嚥下圧測定システムを使用し, VF検査時に咽頭の圧を舌根部(1ch)・喉頭蓋の高さ(2ch)・梨状窩(3ch)・食道入口部(4ch)の4箇所に圧センサーのポイントを置き測定した. 【結果】 対象例の嚥下圧の波形には3つのパターンがみられた. 1)1から3chの圧は比較的保たれているが, 4chの圧が強く弛緩しないタイプ. 2)1から3chの圧は弱いけれども, 4chの圧も低下しているタイプ. 3)2ch, 3chの圧は弱いが, 1chの圧が強いタイプ, であった. 【まとめ】 今回の結果からパターン1では経口摂取が困難なことが多いと考えられた. パターン2では1から3chの圧が弱くても, 4chの圧も弱ければ食道入口部は開大し, 経口摂取が可能であった. また, 3のパターンはいったん口腔内に戻し比較的保たれている1chの圧を利用することで経口摂取が可能であったと考える. 以上の結果からWallenberg症候群の嚥下障害では, 食道入口部の開大不全のみならず, 舌根部の嚥下圧と食道入口部の圧の相対的な関係も重要であることが示唆された. |
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ISSN: | 1343-8441 |