2-P6-12 誤嚥を減らすための介入も行った延髄外側症候群の一例

【目的】 高齢で合併症が多く声門閉鎖不全が残存した延髄外側症候群症例を経験した. 誤嚥を避けるために, 段階的訓練を行い経口摂取に至ったので, 経過を報告する. 【症例】 82歳男性. 72歳時に脳梗塞の既往があるが今回発症まではADLは自立. 2008年に左延髄外側梗塞, 小脳梗塞を発症. 発症後32日当院に転院. 入院時は, 意識清明, 体幹失調, ホルネル徴候等を認めたが口唇や舌の麻痺はなし. 気息性嗄声は重度で随意的な咳は困難. IVH管理で唾液は吐き出していた. 【経過】 初回VEでは, 左軟口蓋・咽頭・喉頭麻痺. 下咽頭に唾液の貯留あり, 空嚥下時のホワイトアウト認めず. VFでは...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.616-617
Hauptverfasser: 鶴田薫, 高橋素彦, 今井真紀, 北原友里, 前野豊
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】 高齢で合併症が多く声門閉鎖不全が残存した延髄外側症候群症例を経験した. 誤嚥を避けるために, 段階的訓練を行い経口摂取に至ったので, 経過を報告する. 【症例】 82歳男性. 72歳時に脳梗塞の既往があるが今回発症まではADLは自立. 2008年に左延髄外側梗塞, 小脳梗塞を発症. 発症後32日当院に転院. 入院時は, 意識清明, 体幹失調, ホルネル徴候等を認めたが口唇や舌の麻痺はなし. 気息性嗄声は重度で随意的な咳は困難. IVH管理で唾液は吐き出していた. 【経過】 初回VEでは, 左軟口蓋・咽頭・喉頭麻痺. 下咽頭に唾液の貯留あり, 空嚥下時のホワイトアウト認めず. VFでは, 梨状窩に多量の残留, UES開大やや不良で複数回嚥下中の不顕性誤嚥や喉頭侵入がみられた. また下咽頭には両側送り込み, 輪状咽頭部は右優位通過で横向き嚥下による送り込み側のコントロールは困難であった. 以上から, 誤嚥を避けるため右下一側嚥下から直接訓練, および頭部挙上訓練, バルーン法, プッシング法, 咳嗽等の間接訓練も開始. 以降もVF・VEにて訓練効果を検討し, 姿勢や食形態等を段階的に変更した. 姿勢は右下一側嚥下から正面向き座位に変更可能となるも, 体幹角度や食形態によっては喉頭侵入や誤嚥を生じたことから, 自宅退院時(発症後221日)は, 60度リクライニング位, 歯茎や舌で押しつぶせる軟らかさの軟菜食, 水分にはトロミ付き等の制限を設けたものの, 自力で3食摂取可能となった. 【まとめ】 1. 延髄外側症候群では, 咽頭機能のみならず喉頭機能の状態が経口摂取の実用化の程度に影響を与えることが推測された. 2. 喉頭機能が不良で高齢で合併症も多い症例でも, 検査結果に基づいた段階的な介入により経口摂取が可能になることが示された. 3. 横向き嚥下が食塊の送り込みのコントロールに有効でない症例もあることから, 代償法導入には送り込み側・通過側を確認する必要性が示された.
ISSN:1343-8441