2-P6-9 高齢者の重度ワレンベルグ症候群に対し完全側臥位を用いて経口摂取可能となった症例
【初めに】 高齢で重度ワレンベルグ症候群のため経口摂取が困難と考えられた症例に対し完全側臥位を利用した嚥下訓練を行ない自力にて経口摂取可能になった経過を報告する. 【症例紹介】 女性, 年齢93歳, 小脳から脳幹部の梗塞, ワレンベルグ症候群. 【既往】 胃癌, 認知症. 【経過】 H21年4月2日脳梗塞発症にてA病院にて保存的治療を行う. 経口摂取困難と判断されるがH21年5月12日経口摂取希望により当院に転院し嚥下リハ開始. PEGは増設されていた. VF・VE評価より食道入口部開大不全と左咽頭の収縮力低下が認められた. 送り込みは問題なくVFにて左側咽頭・食道入口部通過不良あり少量の水分...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.615-615 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【初めに】 高齢で重度ワレンベルグ症候群のため経口摂取が困難と考えられた症例に対し完全側臥位を利用した嚥下訓練を行ない自力にて経口摂取可能になった経過を報告する. 【症例紹介】 女性, 年齢93歳, 小脳から脳幹部の梗塞, ワレンベルグ症候群. 【既往】 胃癌, 認知症. 【経過】 H21年4月2日脳梗塞発症にてA病院にて保存的治療を行う. 経口摂取困難と判断されるがH21年5月12日経口摂取希望により当院に転院し嚥下リハ開始. PEGは増設されていた. VF・VE評価より食道入口部開大不全と左咽頭の収縮力低下が認められた. 送り込みは問題なくVFにて左側咽頭・食道入口部通過不良あり少量の水分通過のみ認められた. 機能訓練は球状バルーンにてバルーン訓練と頭部挙上訓練を中心に指示した. 直接訓練は健側の右側の通過を目的に右下完全側臥位, 頸部左回旋にてトロミ水の経口摂取訓練を始めた. 2カ月後のVFでヨーグルト状のトロミ付スープ等を上記の姿勢で楽しみレベルで摂取が可能となった. 5カ月後のVFで食道入口部の通過も改善がみられ, 上記条件にてスベラカーゼ粥・ペースト食の経口摂取を開始する. 1/2量から徐々に摂取量を増加し8カ月後には全量摂取可(昼食のみ)右側完全側臥位による自力摂取も可能となった. 食事回数は体力的な負担, 胃がんの進行に伴う摂取量低下があり昼食のみでゴールとした. 訓練期間中一度も肺炎は認められなかった. 【結果・考察】 高齢者の摂食・嚥下障害は治療を行う際リスクも高く, 訓練効果も大きな改善は見込めない場合が多い. しかし食事姿勢・食事内容・環境調整を安全に検討したうえで摂取を開始すれば経口摂取も可能となる. この症例も完全側臥位を利用することにより安全に経口摂取でき, 同時に自力摂取という食事環境の質も改善することができた. 高齢の症例でも継続的なバルーン訓練の有効性と完全側臥位での直接訓練が有効であることを確認できた. |
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ISSN: | 1343-8441 |