2-P1-28 義歯不使用により生じた口腔粘膜潰瘍への対応

【はじめに】 口腔粘膜のトラブルは口腔ケアの拒否を引き起こし, 経口摂取・嚥下機能訓練・構音訓練の支障ともなる. 口腔粘膜潰瘍は, 歯の鋭縁や不適合義歯により生じることが広く知られているが, 今回我々は, 入院患者の義歯をはずしていたために生じたと考えられた潰瘍に対して, 義歯を装着し改善した症例を経験したので報告する. 【対象・方法】 口腔内出血や潰瘍形成を主訴に口腔外科に紹介となった当院入院患者のうち, 義歯の不使用による軟組織の位置異常等から潰瘍を生じた症例である. 口腔ケアと保湿, 義歯装着などによる軟組織の位置是正と保護を行い, 潰瘍の変化を観察した. 【症例】 症例1. 73歳,...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.549-549
Hauptverfasser: 内藤慶子, 配島桂子, 配島弘之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】 口腔粘膜のトラブルは口腔ケアの拒否を引き起こし, 経口摂取・嚥下機能訓練・構音訓練の支障ともなる. 口腔粘膜潰瘍は, 歯の鋭縁や不適合義歯により生じることが広く知られているが, 今回我々は, 入院患者の義歯をはずしていたために生じたと考えられた潰瘍に対して, 義歯を装着し改善した症例を経験したので報告する. 【対象・方法】 口腔内出血や潰瘍形成を主訴に口腔外科に紹介となった当院入院患者のうち, 義歯の不使用による軟組織の位置異常等から潰瘍を生じた症例である. 口腔ケアと保湿, 義歯装着などによる軟組織の位置是正と保護を行い, 潰瘍の変化を観察した. 【症例】 症例1. 73歳, 女性. 既往歴:なし. 現病歴:脳幹梗塞にて当院脳外科入院中, 難治性潰瘍の診察依頼となった. 義歯は入院時の緊急経口挿管時にはずされ, 気管切開に移行後も不使用のままとなっていた. 当科初診時に上唇, 下唇に計4か所の潰瘍を認め, 同日より義歯装着した. 義歯装着3日目には潰瘍の改善に伴い, 口腔ケア・訓練において指示に従えるようになった. 義歯装着11日目には潰瘍はほぼ治癒した. 【考察および結論】 急性期の患者では, 多様な理由で義歯をはずしたままになることがある. 義歯をはずすと, 顎堤粘膜や巻き込んだ口唇を残存歯で圧迫したりして潰瘍を形成しうるが, このような潰瘍成因や義歯装着により潰瘍が改善することについてはこれまでほとんど報告がない. 患者の全身状態の改善または, 口腔ケアのリスク管理が可能となった時点でなるべく早期に義歯の装着を再開することは, 潰瘍形成の予防とともに潰瘍治癒に有効で, 患者のケアの充実・廃用の予防, リハビリテーションの進行に必要であると考えられた.
ISSN:1343-8441