2-P1-9 成人期からのアプローチで口腔機能が改善したダウン症の一例
【はじめに】 ダウン症の摂食に関する特徴として舌突出, 丸飲みなどがあげられる. しかし, 早期から継続して摂食機能の評価および指導を受けることによって短期間で改善することから早期指導の重要性を示唆する報告があり, 積極的に早期療育が行われている. 一方, 乳幼児期に摂食指導を受けたことがなく成人期を迎えたダウン症の摂食指導の効果に関する報告はみられない. 今回, 成人期に達したダウン症患者に摂食指導を行い, 良好な結果が得られたので報告する. 【症例】 初診時年齢21歳の男性. 発語はなくコミュニケーション困難, 多動であった. 主訴は「咬まない, こぼす」だった. 初診時において安静時およ...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.539-540 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】 ダウン症の摂食に関する特徴として舌突出, 丸飲みなどがあげられる. しかし, 早期から継続して摂食機能の評価および指導を受けることによって短期間で改善することから早期指導の重要性を示唆する報告があり, 積極的に早期療育が行われている. 一方, 乳幼児期に摂食指導を受けたことがなく成人期を迎えたダウン症の摂食指導の効果に関する報告はみられない. 今回, 成人期に達したダウン症患者に摂食指導を行い, 良好な結果が得られたので報告する. 【症例】 初診時年齢21歳の男性. 発語はなくコミュニケーション困難, 多動であった. 主訴は「咬まない, こぼす」だった. 初診時において安静時および捕食時, 処理時における舌突出が認められた. 【経過】 初回指導として舌訓練および捕食訓練を行った. 指導の際, 15分以上訓練を行ったところで自傷および他傷などが見られたので10分を超えないこととした. 指導開始から1年5カ月後, 声かけのみで水分摂取時に舌突出が少なくなった. 問診により, コップによって舌の出方が違うと情報から, 診査に基づき舌突出の少なかった径の小さいコップを使用するよう指導した. 2年9カ月後, 水分摂取時の舌突出がほとんど見られなくなり, 送り込み・食塊形成が良好となった. 次の段階として咀嚼訓練開始を考慮したが, 患者の情緒が不安定になり始めたため積極的な訓練は行わず継続して様子をみることとした. 3年11カ月後, 精神面安定したため咀嚼訓練を開始した. 4年10カ月後, 力は弱いものの咀嚼が可能となった. 【結果および考察】 一般的に誤学習の期間が長くなると指導による機能改善が難しいといわれている. 成人期に問題を抱えて来院する患者は短期間での明らかな改善等がみられないことから途中で中断となってしまうケースを多く経験する. 今回, 継続した支援を行うことで, 長期に渡るものの良好の結果をえることが可能だということが示された. |
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ISSN: | 1343-8441 |