2-3-11 脊髄小脳変性症における嚥下障害の経時的変化とその特徴について
【背景】 脊髄小脳変性症患者の嚥下障害の詳細な検討は少ない. また, 同一症例に対して複数回, 嚥下評価をおこなっている報告はほとんどない. 【目的】 脊髄小脳変性症患者の嚥下障害を経時的に評価し, 多系統萎縮症(MSA)群と皮質小脳萎縮症(CCA)群を比較検討する. 【方法と対象】 対象は2004年6月から2009年11月までに当科に入院し, 2回以上VFにて嚥下評価が可能であった16例とした. 内訳はMSA 6例, CCA 10例であった. 全例に嚥下造影検査を施行しており, 下位項目につき評価をした. 評価項目は複数回嚥下, 食塊形成不全, 送り込み不良, 口腔内保持不良, 嚥下反射の遅...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.484-484 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【背景】 脊髄小脳変性症患者の嚥下障害の詳細な検討は少ない. また, 同一症例に対して複数回, 嚥下評価をおこなっている報告はほとんどない. 【目的】 脊髄小脳変性症患者の嚥下障害を経時的に評価し, 多系統萎縮症(MSA)群と皮質小脳萎縮症(CCA)群を比較検討する. 【方法と対象】 対象は2004年6月から2009年11月までに当科に入院し, 2回以上VFにて嚥下評価が可能であった16例とした. 内訳はMSA 6例, CCA 10例であった. 全例に嚥下造影検査を施行しており, 下位項目につき評価をした. 評価項目は複数回嚥下, 食塊形成不全, 送り込み不良, 口腔内保持不良, 嚥下反射の遅延, 喉頭侵入, 誤嚥, 喉頭蓋谷への残留, 梨状窩への残留とした. 【結果】 最短評価間隔は5カ月であり, 最長は4年であった. MSA群においては観察期間中に胃瘻造設もしくは声帯麻痺による気管切開術を施行した症例が認められたが, CCA群では常食摂取可能な症例が多かった. 経時的な観察においてMSA群ではCCA群に比較して, 嚥下障害の進行は速く, 徐々に口腔期の異常が増加する傾向があった. 【考察】 MSAの嚥下障害では, 口腔期の障害が主体であり, その機序はパーキンソニズムに伴うものと報告されている. また, 小脳失調に伴う舌の協調運動障害による口腔内での食塊の移送障害をきたすと言われている. 本研究でも, MSAでは口腔期異常が経過とともに増加する傾向があり, 過去の報告と矛盾しない結果を得た. 【結語】 MSA群とCCA群を比較し, 嚥下障害を経時的に評価し得た. MSA群では嚥下障害の進行は速く, 経過に伴って, 口腔期の異常も増加傾向にあった. |
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ISSN: | 1343-8441 |