2-3-10 パーキンソン病における嚥下障害
【背景】 1817年James Parkinsonが報告した[振戦麻痺に関する論文]の中で, 嚥下障害に関する記載は『パーキンソン病の嚥下障害は口腔内に食塊が入った後の咀嚼・嚥下運動に時間がかかる. 嚥下に関する協調運動が困難である.』となっている. しかし, 現在までパーキンソン病(PD)における嚥下障害にはバリエーションが多く, 明らかでない部分も多い. 【目的】 PDにおける嚥下障害の特徴を検討し, また嚥下障害とHoehn-Yahrの重症度, PDの臨床症状との関連を明らかにすることを目的とした. 【対象】 2004年6月から2010年4月までに入院, または外来通院中のPD患者60例...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.483-483 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【背景】 1817年James Parkinsonが報告した[振戦麻痺に関する論文]の中で, 嚥下障害に関する記載は『パーキンソン病の嚥下障害は口腔内に食塊が入った後の咀嚼・嚥下運動に時間がかかる. 嚥下に関する協調運動が困難である.』となっている. しかし, 現在までパーキンソン病(PD)における嚥下障害にはバリエーションが多く, 明らかでない部分も多い. 【目的】 PDにおける嚥下障害の特徴を検討し, また嚥下障害とHoehn-Yahrの重症度, PDの臨床症状との関連を明らかにすることを目的とした. 【対象】 2004年6月から2010年4月までに入院, または外来通院中のPD患者60例(PD群)と頭部MRI上, 慢性虚血性変化のみで神経疾患のない嚥下性肺炎患者60例(NPD群)を対象とした. PD群ではYahr 1・2が10例, Yahr 3は23例, Yahr 4は12例, Yahr 5は15例であった. 【方法】 すべての症例にVE又はVFを施行した. 以下の評価項目でPD群とNPD群またPDの各症状についてχ2乗検定で検討. 重症度との関連はYahrの5群間で検討した. 【評価項目】 嚥下検査における複数回嚥下, 食塊形成不全, 鼻咽腔への逆流, 喉頭侵入, 嚥下反射の遅延, 反射前の咽頭流入, 喉頭蓋谷の貯留, 梨状窩の貯留について評価した. またPDの症状では流涎, 振戦, 固縮, 姿勢反射障害, 無動について評価した. 【結果】 複数回嚥下と食塊形成不全, 鼻咽腔への逆流はPD群に有意に多く認めた. またYahr 1・2のような軽度PD患者でも嚥下障害を認めた. 嚥下障害と姿勢反射障害, 流涎に関連性を認めた. 【考案】 過去の報告では, PDの嚥下障害では, 咀嚼障害, 舌運動の障害, 流涎などがすでに指摘されている. また病初期であっても20~35%の患者が飲み込みの悪さや咽頭のつまり感を自覚し, 本研究においても軽度PD患者に嚥下障害を認めた. 嚥下障害では姿勢反射障害・流涎が何らかの関連があると考えられた. |
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ISSN: | 1343-8441 |