1-P6-20 胃液の逆流を予防する注入方法の検討─介護食用に特別に開発された低凝固力の寒天での固形化注入

【序論】 経管で栄養剤を注入する際に栄養剤が胃食道逆流を起こしにくくするために固形化注入が広まっている. 従来の固形化注入は注入物と胃液が分離して逆流を起こさないものが多かった. 胃食道逆流しやすかったり嘔吐しやすかったりすると固形化注入していても胃内圧が高まったとき胃酸が咽頭や口腔内まで逆流することがある. 流動性が高い胃液は胃食道逆流しやすく, 咽頭まで逆流すると気道内に流入する危険が高まる. 胃液を吸入すると劇症の肺炎を引き起こす. 今回胃液が逆流しにくくなる栄養剤注入方法をとして伊那食品の介護用ウルトラ寒天(以下ウルトラ寒天)を用いて固形化する方法を検討した. 【実験方法】 (1)アイ...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.464-464
Hauptverfasser: 福村直毅, 齊藤弘子, 田口充, 五十嵐織江, 北山泰一, 原純一, 吉野ひろみ, 牧上久仁子, 茂木紹良
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【序論】 経管で栄養剤を注入する際に栄養剤が胃食道逆流を起こしにくくするために固形化注入が広まっている. 従来の固形化注入は注入物と胃液が分離して逆流を起こさないものが多かった. 胃食道逆流しやすかったり嘔吐しやすかったりすると固形化注入していても胃内圧が高まったとき胃酸が咽頭や口腔内まで逆流することがある. 流動性が高い胃液は胃食道逆流しやすく, 咽頭まで逆流すると気道内に流入する危険が高まる. 胃液を吸入すると劇症の肺炎を引き起こす. 今回胃液が逆流しにくくなる栄養剤注入方法をとして伊那食品の介護用ウルトラ寒天(以下ウルトラ寒天)を用いて固形化する方法を検討した. 【実験方法】 (1)アイソカル2Kまたはウルトラ寒天で固形化したアイソカル2Kを, 一定量の日局第1液と混合し50メッシュを通過させその粘度および分離状態を調べた. ゲルと日局第1液との割合は, 5:1, 5:2, 5:3とした. (2)ウルトラ寒天で固形化した場合と通常の寒天で固形化した場合で押し出し圧を調べた. 【結果】 (1)ウルトラ寒天が添加されていないものは日局第1液の添加により凝集が発生し分離が生じた. 凝集物は5:3のもので37%であり63%がタンパク質等が分離された透明状の粘性のない液体であった. 0.5%濃度では見かけ上の分離が若干見られたが1%濃度以上では見かけ上分離していなかった. (2)ウルトラ寒天は0.5%から1.5%の濃度で通常の寒天より押し出し圧が低かった. 【結語】 0.5%以上の濃度のウルトラ寒天で固形化すると見かけ上胃液と分離しにくいことがわかった. ウルトラ寒天は通常の寒天注入に比べて注入圧の低さと胃液と分離しない点で, 増粘剤注入に比べて注入手技の簡便さと価格の点で優れていると思われた. 栄養科がない施設ではウルトラ寒天での固形化が困難との指摘もある. 今後ウルトラ寒天で固形化した製品の開発が望まれる.
ISSN:1343-8441