1-P6-8 広範囲な脳梗塞により重度の意識障害・左半側空間失認を呈した症例への早期経口摂取獲得を目指したアプローチ
【はじめに】 重度の半側空間失認患者に対して, 早期経口摂取と視空間失認への改善を目的として非麻痺側からの刺激を狭小化したアプローチを行った. その結果, 1カ月後には経口摂取獲得し, 左側への認知も良好となったため報告する. 【症例】 80歳代 男性 頭部MRIにて右MCA領域に広範囲な脳梗塞, MRAにて右内頸動脈サイフォン部狭窄, 右MCA完全閉塞が認められた. 入院時, JCS 2-10, 右共同偏倚, 左片麻痺(Br-Stage1-1-2), 自発開眼困難, 会話は一部可能, 左側肺野に湿性ラ音を聴取した. 摂食・嚥下機能は4病日目にスクリーニング評価を実施し, RSST判定不可,...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.458-458 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】 重度の半側空間失認患者に対して, 早期経口摂取と視空間失認への改善を目的として非麻痺側からの刺激を狭小化したアプローチを行った. その結果, 1カ月後には経口摂取獲得し, 左側への認知も良好となったため報告する. 【症例】 80歳代 男性 頭部MRIにて右MCA領域に広範囲な脳梗塞, MRAにて右内頸動脈サイフォン部狭窄, 右MCA完全閉塞が認められた. 入院時, JCS 2-10, 右共同偏倚, 左片麻痺(Br-Stage1-1-2), 自発開眼困難, 会話は一部可能, 左側肺野に湿性ラ音を聴取した. 摂食・嚥下機能は4病日目にスクリーニング評価を実施し, RSST判定不可, MWST・FT 2点. 左口角下垂, 挺舌時の軽度左方偏倚, 唾液でのむせなどが観察された. 【経過】 1病日目より呼吸療法, 段階的な離床開始を目的にリハビリ開始した. 開眼困難, 傾眠傾向は持続したが, 全身状態安定が図れたため7病日目より昼のみゼリー食を開始. 13病日目にVF実施した結果, 早期咽頭流入, 嚥下反射惹起遅延, 梨状窩残留, 粥の嚥下中誤嚥を認めた. そのため, ゼリー食を継続し, 段階的なステップアップを図りながら, 摂食時には右側を壁にした環境調整, 頭頸部を正面にしたポジショニング, 徒手的な開眼のアシストなどを, 摂食・嚥下チームで行った. 覚醒状態の変動により摂取に時間を要したが, 約1カ月後には3食経口移行となり, 2カ月後には普通箸を用いて常食を自力摂取し転院となった. なお, 1カ月後の線分の末梢テストでは右3列のみの消去であったが, 食事場面では左側の食事を自力摂取できていた. 【まとめ】 発症から早期に高次脳機能障害をアセスメントし, 離床と並行して視空間失認へのアプローチを開始したことで食事動作を含めたセルフケア拡大をきたすことができた. 急性期であっても, 早期に高次脳機能障害を改善できるような多職種協働でのアプローチが必要である. |
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ISSN: | 1343-8441 |