1-P5-17 摂食・嚥下・口腔ケアチームの介入により経口摂取再開が可能となった重症心身障害者の1例

【はじめに】 当院は2008年7月に多職種からなる摂食・嚥下・口腔ケアチームを発足し, チームアプローチを展開している. 今回, 誤嚥性肺炎をおこした後に経口摂取を中止していたが, チーム介入後に再開できた1例を経験したので報告する. 【症例】 31歳男性. 1984年にてんかんを発症して内服加療が開始されたが, 全般性発作が持続して次第に精神運動発達遅滞が明らかとなった. 1998年に歩行困難となり, 1999年に当院へ入院した. 朝はおじやを介助で, 昼はミンチ食を自力で摂取していた. 2008年12月誤嚥性肺炎をおこし, 気管内挿管, 加療が行われた. 肺炎は治癒し気管内チューブは抜管さ...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.450-450
Hauptverfasser: 石和梨沙, 石川知子, 林田あけみ, 原徳美, 保科早苗, 西紗樹子, 高木利栄子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】 当院は2008年7月に多職種からなる摂食・嚥下・口腔ケアチームを発足し, チームアプローチを展開している. 今回, 誤嚥性肺炎をおこした後に経口摂取を中止していたが, チーム介入後に再開できた1例を経験したので報告する. 【症例】 31歳男性. 1984年にてんかんを発症して内服加療が開始されたが, 全般性発作が持続して次第に精神運動発達遅滞が明らかとなった. 1998年に歩行困難となり, 1999年に当院へ入院した. 朝はおじやを介助で, 昼はミンチ食を自力で摂取していた. 2008年12月誤嚥性肺炎をおこし, 気管内挿管, 加療が行われた. 肺炎は治癒し気管内チューブは抜管され, 2009年2月胃瘻造設し, 同年3月経口摂取の再開を検討するためチームが介入した. 【介入後経過】 初めは, 昼夜逆転や内服薬の影響により昼間の覚醒時間が短く, 十分なラポートが得られなかった. 顔を背ける, 寝たふりをするなどの訓練拒否が見られた. 湿性咳嗽があり, まず口腔ケア, 間接訓練から開始した. 6月よりゼリーにて直接訓練を開始したところ, 取り込み時と嚥下時の口唇閉鎖不全, 咀嚼運動や舌の協調運動障害を認め, 時折むせが見られた. 7月嚥下造影検査を実施し, 口腔期障害, 嚥下反射遅延, 喉頭蓋谷, 梨状窩の残留がわずかに認められ, 藤島の摂食・嚥下グレードは4と判断した. 摂食前後の咳嗽と痰の吸引, 30度挙上姿勢, 複数回嚥下を病棟へ指導し, 1日1回ゼリーでの直接訓練を継続した. 8月嚥下食1(ゼリー食)を始め, 翌週嚥下食2(プリン・ムース食)へと形態をアップした. 11月嚥下食3(ポタージュ・ペースト食)を試すがむせが見られたため嚥下食2へ戻し, 以後継続できている. 【考察】 チーム介入により, 情報の共有や訓練回数の増大, 適切な食形態の提供が経口摂取につながり, 患者のQOLの向上へ寄与したと考えられる.
ISSN:1343-8441