1-P4-5 要介護高齢者の嚥下頻度─経口摂取の有無による比較

【緒言】 高齢者の嚥下機能の低下は, 加齢のみならず廃用により助長されると言われている. 2次的障害である廃用は, 日常の活動性が低いほど進行することが知られている. 胃瘻症例では, 経口摂取の禁止にともない, 食事時の嚥下頻度の著しい減少はもとより, 口腔や口腔周囲の活動が低下する. その結果, 安静時唾液量の減少を招き, 日常の嚥下頻度はさらに減少すると予想される. これらのことは, 加齢による変化以上の機能低下が廃用により生じる可能性を示唆している. しかしながら, これまで高齢者の胃瘻症例の日常生活における嚥下頻度を実際に測定した報告はない. そこで今回は, 経口摂取の有無による日常の...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.430-430
Hauptverfasser: 田中信和, 野原幹司, 小谷泰子, 阪井丘芳
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【緒言】 高齢者の嚥下機能の低下は, 加齢のみならず廃用により助長されると言われている. 2次的障害である廃用は, 日常の活動性が低いほど進行することが知られている. 胃瘻症例では, 経口摂取の禁止にともない, 食事時の嚥下頻度の著しい減少はもとより, 口腔や口腔周囲の活動が低下する. その結果, 安静時唾液量の減少を招き, 日常の嚥下頻度はさらに減少すると予想される. これらのことは, 加齢による変化以上の機能低下が廃用により生じる可能性を示唆している. しかしながら, これまで高齢者の胃瘻症例の日常生活における嚥下頻度を実際に測定した報告はない. そこで今回は, 経口摂取の有無による日常の嚥下頻度を高齢者間で比較した. 【方法】 施設入居高齢者を被験者として以下の群間の日常の嚥下頻度を測定し, 比較検討した. 1)全量経口摂取を行っている16例(経口群)と胃瘻症例16例(胃瘻群), 2)前述の胃瘻群の中で胃瘻造設から2年以内の7例(短期群)とそれ以上の9例(長期群). 被験者は測定1時間前から経口摂取を禁止した以外には行動制限は行わなかった. 【結果】 1時間当たりの嚥下回数の平均は経口群では18.1±9.8回, 胃瘻群で, 10.7±7.7回となり胃瘻群が有意に低い値となった. また胃瘻群内では, 両群共に10.7回となったものの, 中央値は短期群で11回, 長期群で7回となり短期群と比べ長期群が低い値を示した(有意差なし). 【考察】 われわれは, 先行研究において, 若年者と比較し, 高齢者は有意に嚥下頻度が低下していることを明らかにした. そこで今回は, 加齢変化による影響を考慮し, 高齢者間で経口摂取の有無により検討を行った. 本実験からは, 経口群より胃瘻群が, また胃瘻群では長期群の方が嚥下回数は低くなる傾向を示した. この結果は, 加齢による変化とは別に, 廃用により嚥下機能の低下が生じる可能性を示唆していると考えられる. 今後は症例数を増やし, 更なる検討行う予定である.
ISSN:1343-8441