1-P1-23 生活習慣・健康状態の摂食・嚥下機能への影響の検討─聖隷式質問紙を用いた人間ドック受診者での調査

【目的】 生活習慣・健康状態が摂食・嚥下機能に及ぼす影響を検討する. 【方法】 平成22年1月から6月までに庄内医療生協の人間ドックの60歳以上の同意の得られた受診者を対象とし, 聖隷式嚥下質問紙(大熊ら, 2002)で摂食・嚥下機能の評価を行った. 検診データ(血圧, 肺機能, 血液検査, 喫煙歴)と, 摂食・嚥下障害評価の結果をあわせて分析した. 【結果】 1906名(男929名, 女977名)から回答が得られた. 平均年齢は69.5歳であった. 全回答者の8.0%にあたる152名(男74名, 女78名)が「嚥下障害あり」と判定された. 嚥下障害の頻度は60代6.0%, 70代9.2%,...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.401-401
Hauptverfasser: 牧上久仁子, 原純一, 吉野ひろみ, 五十嵐織江, 北山泰一, 田口充, 斎藤弘子, 福村直毅
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】 生活習慣・健康状態が摂食・嚥下機能に及ぼす影響を検討する. 【方法】 平成22年1月から6月までに庄内医療生協の人間ドックの60歳以上の同意の得られた受診者を対象とし, 聖隷式嚥下質問紙(大熊ら, 2002)で摂食・嚥下機能の評価を行った. 検診データ(血圧, 肺機能, 血液検査, 喫煙歴)と, 摂食・嚥下障害評価の結果をあわせて分析した. 【結果】 1906名(男929名, 女977名)から回答が得られた. 平均年齢は69.5歳であった. 全回答者の8.0%にあたる152名(男74名, 女78名)が「嚥下障害あり」と判定された. 嚥下障害の頻度は60代6.0%, 70代9.2%, 80代では16.0%であった. 「嚥下障害あり」と判定された回答者を, それ以外の回答者と比較したところ, 有意に年齢が高かった(嚥下障害あり群72.0歳, 嚥下障害なし・疑い群69.3歳). また嚥下障害群は有意に一秒率が小さく, ヘモグロビン, 血清アルブミン, 総コレステロールが低値であった. 性, 喫煙歴の有無・喫煙指数, Brain Natriuretic Peptide (BNP), クレアチニンは両群で有意差を認めなかった. 【まとめ】 回答者の8.0%に嚥下障害が認められた. 嚥下障害は本研究の対象者のような比較的頑健な地域在住高齢者にとっても無視できない問題であることが示された. 嚥下障害のある高齢者では, Hb・血清Alb・T-Cholなど, 栄養状態と関連する検査項目が有意に低く, 地域在住高齢者でも, 嚥下障害と低栄養の関連があることが示された. 喫煙は咽喉頭知覚を低下させ, 嚥下障害のリスクと考えられている. しかし, 本研究では喫煙と嚥下障害の関係には, 一貫した有意差を認めなかった. 聖隷式質問票には, 咽頭知覚の低下の検出にターゲットを絞った項目がない. 喫煙は嚥下障害に関連している可能性は否定できないが, その影響は口腔・咽頭・喉頭・食道など多くの器官の感覚・運動など多様な機能が関わる摂食・嚥下障害をスクリーニングする聖隷式質問票では検出し得なかったのだと考えられた.
ISSN:1343-8441