1-7-10 高齢者市中肺炎の重症度に及ぼす栄養指標の検討
【はじめに】 高齢者市中肺炎の主たる原因は唾液の誤嚥によるmicroaspirationであり, 唾液と共に誤嚥する細菌群に対する免疫力の低下が大きく関与していることが考えられる. 今回, 我々は高齢者市中肺炎において栄養状態の指標と肺炎重症度がどのように関連しているかについて検討した. 【対象と方法】 2010年1月から同4月までの入院例のうち肺炎の診断で緊急入院となり, 入院時にrapid-turnover proteinとしてtransferrin (Trf), pre-albumin (preAlb)の測定をおこなった連続21例(男性8例, 女性13例, 平均年齢84歳)を対象とした....
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.381-381 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】 高齢者市中肺炎の主たる原因は唾液の誤嚥によるmicroaspirationであり, 唾液と共に誤嚥する細菌群に対する免疫力の低下が大きく関与していることが考えられる. 今回, 我々は高齢者市中肺炎において栄養状態の指標と肺炎重症度がどのように関連しているかについて検討した. 【対象と方法】 2010年1月から同4月までの入院例のうち肺炎の診断で緊急入院となり, 入院時にrapid-turnover proteinとしてtransferrin (Trf), pre-albumin (preAlb)の測定をおこなった連続21例(男性8例, 女性13例, 平均年齢84歳)を対象とした. 栄養学的評価としては上記のTrf, preAlb以外にalbumin (Alb)を含む通常の生化学的検査も行われた. 肺炎の重症度は胸部単純レントゲン検査で肺炎像が片肺の1/3以下を占める場合を軽症, 1/3-2/3を占める場合を中等症, 2/3以上を占める場合を重症, とした. 肺炎の重症度と栄養学的要素の関連について検討した. 【結果】 軽症9例, 中等症10例, 重症2例であり, Alb値は軽症3.61±0.53, 中等症以上3.12±.0.73(p=0.0365), Trfは軽症167.4.±45.6, 中等症以上171.9±54.6(p=0.4243), preAlbは軽症10.57±4.67, 中等症以上10.49±4.63(p=0.4856)であった. 【考察】 preAlbの半減期は約2日, Trfは約7日, Albは約21日であり, Trf, preAlbが重症度に関わらず低下しており, Alb値が中等症以上で低値を示していたことは, 肺炎の重症度は発症の1週間より以前の栄養状態が関与している可能性を示唆している. すなわち高齢者における市中肺炎を予防するためにはalbumin値によって示される良好な栄養状態を日常から維持することが必要である. |
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ISSN: | 1343-8441 |