1-7-6 意思伝達が困難な要介護高齢者に対する主食量と質の検討

【背景・目的】 摂食・嚥下障害があり, 意思伝達が困難な要介護高齢者へ機能と必要栄養量が評価された食事が, 時には量に対して身体的負担と嘔吐の原因になることがある. そこで主食の「粥」に着目して量と質の検討を行った. 【方法】 1. 介護保険施設に入所するムース粥・ペースト食に該当する9名(年齢84.9±8.67歳・平均介護度4.7)を対象とした. 通常のムース粥200g「スベラカーゼ1.5%(フードケア社)」(E 148kcal, P 2.2g)に対し, 栄養強化ムース粥150g「スベラカーゼ1.5%+ムースゼリーパウダー(MP)4%(キューピー社)」(E 138kcal, P 2.9g)を...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.379-379
Hauptverfasser: 麻植有希子, 小野江茉莉, 伊藤滋
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【背景・目的】 摂食・嚥下障害があり, 意思伝達が困難な要介護高齢者へ機能と必要栄養量が評価された食事が, 時には量に対して身体的負担と嘔吐の原因になることがある. そこで主食の「粥」に着目して量と質の検討を行った. 【方法】 1. 介護保険施設に入所するムース粥・ペースト食に該当する9名(年齢84.9±8.67歳・平均介護度4.7)を対象とした. 通常のムース粥200g「スベラカーゼ1.5%(フードケア社)」(E 148kcal, P 2.2g)に対し, 栄養強化ムース粥150g「スベラカーゼ1.5%+ムースゼリーパウダー(MP)4%(キューピー社)」(E 138kcal, P 2.9g)を提供し, 体重, BMI, 食事摂取量, 血液データ, 発熱回数, 嘔吐の有無を導入前後で比較した. 2. 前述2社の推奨濃度を基本とし, MPの添加量を検討(A 8%, B 12%, C 16%)し, 機器測定による物性値, 官能(物性と風香味)評価した. 【結果】 1. 9名いずれにおいても体重, BMI, 血液データに大きな変化は見られなかった. また, 2名においては過去3カ月嘔吐と発熱による食止めが繰り返されたが現時点では一度も見られていない. 2. 機器測定ではMP 4%添加は嚥下ピラミッドのL1, A 8%・B 12%・C 16%はL2に分類された. 官能評価では添加量が増加するにつれてゼリー状からゾルに近いゼリー状へ, 甘さが増し, 風味は「粥」というには違和感を感じる, という結果であった. 【考察】 対象者はハイリスクとして日頃より栄養管理に注意を払っており栄養状態の大きな変化みられなかった. 量を調整し必要量を担保することで身体的負担の軽減につながったと予測されるが更に検証が必要である. MPは添加濃度が高くなるにつれ弾力が減少し, ゼリーとしての物性が低下し, 味覚的に「粥」のイメージから離れてゆくと考えられた. ムース粥の栄養強化の上限として10%程度が妥当であると考える.
ISSN:1343-8441