1-6-26 小児における嚥下障害食のテクスチャー特性および嚥下状況

【目的】 小児の摂食・嚥下機能の発達においては, 全身状態, 運動機能, 情緒, 意欲や社会性が関与し, 日常生活全般に大きな影響を与え, 特に, 嚥下障害児では各個人の摂食機能に対応した食事提供が必要とされている. しかし, 小児の嚥下障害食の物性値やその評価基準に関する報告はほとんどみられない. 本研究ではK市療育センターで提供されている嚥下障害食のテクスチャー測定を行い, 嚥下障害児の摂食機能に対応した食事形態を検討した. 【方法】 K市療育センターの嚥下障害食について, 主食, 主菜, 副菜, 汁物およびデザートを各3段階(やわらか食, マッシュ食, ペースト食)に展開した献立を試料と...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.376-376
Hauptverfasser: 時藤亜衣, 松嶋康之, 松崎暁子, 上田まゆみ, 高橋真紀, 吉岡慶子, 蜂須賀研二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】 小児の摂食・嚥下機能の発達においては, 全身状態, 運動機能, 情緒, 意欲や社会性が関与し, 日常生活全般に大きな影響を与え, 特に, 嚥下障害児では各個人の摂食機能に対応した食事提供が必要とされている. しかし, 小児の嚥下障害食の物性値やその評価基準に関する報告はほとんどみられない. 本研究ではK市療育センターで提供されている嚥下障害食のテクスチャー測定を行い, 嚥下障害児の摂食機能に対応した食事形態を検討した. 【方法】 K市療育センターの嚥下障害食について, 主食, 主菜, 副菜, 汁物およびデザートを各3段階(やわらか食, マッシュ食, ペースト食)に展開した献立を試料とし, 卓上型物性測定器(TPU-2S (B))でテクスチャー特性を測定した. 各試料の測定値は, 嚥下食ピラミッドの各レベルに分類し, 障害児の摂食機能の発達段階への対応を嚥下状況と併せて検討した. 【結果・考察】 小児における嚥下障害食のテクスチャー値について, かたさ[×104N/m2]はやわらか食0.07~3.97, マッシュ食0.03~0.91, ペースト食0.04~0.30の範囲であった. これらを障害児の摂食機能の発達段階に合わせた段階食へ対応させると, やわらか食はそしゃく食・自立食, マッシュ食とペースト食は押しつぶし食に該当した. また, 嚥下困難者用食品(厚生労働省, 2009年)の許可基準(3)の範囲内であった. ペースト食からマッシュ食, やわらか食へと嚥下食レベルが上がるにつれて物性値の広がりが認められ, 多様な食材を用いた献立への展開が可能となった. 嚥下障害児に対しては摂食機能の発達段階からの対応が求められ, 原疾患の特徴を理解し, 摂食・嚥下機能の獲得過程に合わせた食事形態を調製する必要があると考えられた. 小児における嚥下障害食のテクスチャー特性の標準化は, 嚥下障害児の栄養摂取, 機能発達に資することが期待される.
ISSN:1343-8441