1-6-17 嚥下食開始時の食形態の検討─ペーストとゼリーの比較

【目的】 当院では2年前より嚥下食ピラミッド(金谷ら提唱, 2004年本学会)に準じて嚥下食を設定している. その結果, ゼリー(L0:嚥下開始食)から直接訓練を開始することが多くなった. しかし, 実際はペースト食(L3)から開始する方が安全な場合もある. そこで, 直接訓練を開始する食形態としてどちらが適しているのかを嚥下造影検査(以下VF)を基に検討したので報告する. 【対象】 平成21年4月から平成22年3月までに当院でVFを実施した嚥下障害患者のうち無作為に選んだ53名(男性30名, 女性23名, 57歳~98歳, 平均年齢82歳). 【方法】 バリウムゼラチンゼリー(以下ゼリー),...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010, Vol.14 (3), p.371-371
Hauptverfasser: 福間丈史, 仙田直之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】 当院では2年前より嚥下食ピラミッド(金谷ら提唱, 2004年本学会)に準じて嚥下食を設定している. その結果, ゼリー(L0:嚥下開始食)から直接訓練を開始することが多くなった. しかし, 実際はペースト食(L3)から開始する方が安全な場合もある. そこで, 直接訓練を開始する食形態としてどちらが適しているのかを嚥下造影検査(以下VF)を基に検討したので報告する. 【対象】 平成21年4月から平成22年3月までに当院でVFを実施した嚥下障害患者のうち無作為に選んだ53名(男性30名, 女性23名, 57歳~98歳, 平均年齢82歳). 【方法】 バリウムゼラチンゼリー(以下ゼリー), 増粘剤加硫酸バリウム液(以下ペースト)を自由嚥下にてVF評価した. 評価項目は, STの主観でStep 1~Step 3に分けて段階的に設定した. Step 1は誤嚥の有無を評価した. Step 2は, Step 1で両者とも誤嚥のない症例を対象に咽頭残留, 喉頭侵入, 嚥下反射惹起遅延を評価した. Step 3は, Step 2で両者間に差のない症例を対象に, 食塊形成, 咽頭への送り込みを評価した. 以上より開始食として適した食形態がゼリーのみである群(以下A群), ペーストのみである群(以下B群), ゼリー・ペーストとも適する群(以下C群), 両者とも適さない群(以下D群)の4つに分けた. 【結果】 Step 1:A群0例, B群5例, C群38例, D群10例. Step 1のC群38例を対象にしたStep 2の評価ではA群6例, B群8例, C群24例であった. Step 2のC群24例を対象にしたStep 3の評価ではA群2例, B群5例, C群17例であった. 以上準備期から咽頭期までを3つのStepで振い分けした結果, A群8例, B群18例, C群17例, D群10例であった. 【考察】 今回検討した結果, ゼリーよりペーストから開始する方が良いのではないかと思われる症例が予想外に多く, 嚥下訓練開始食としてゼリーのみでなく, ペーストも設定する必要があると考えた. そこで適正な開始食を選択できるように, フローチャートの作成検討中である.
ISSN:1343-8441