とろろを用いたゲル–ゾル混合系食物の物性,食べやすさ,および咽頭相における嚥下動態
本研究では,刺身の山かけやとろろご飯の有する優れたまとまり感に着目し,液体に粘性を付与するものとして山芋粉末を用い,サラダオイル状,プレーンヨーグルト状,マヨネーズ状のゾル試料を調製した.加えて,硬さの異なる3 種のゾル試料に,破断応力1.43(±0.14)×104N/m2 程度の4 mm 立方体のゲルを分散層として50% 容量含むゲル–ゾル混合系試料を調製し,ゾル試料とともに物性評価,健常若年者を被験者とした官能評価,嚥下造影検査を行った.官能評価より得られた口中感覚は,ゾル部分の物性が大きく影響していることが示された.また,嚥下造影検査の結果,ゾル試料では,中咽頭から下咽頭までのゾル試料の...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2010/12/31, Vol.14(3), pp.201-211 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 本研究では,刺身の山かけやとろろご飯の有する優れたまとまり感に着目し,液体に粘性を付与するものとして山芋粉末を用い,サラダオイル状,プレーンヨーグルト状,マヨネーズ状のゾル試料を調製した.加えて,硬さの異なる3 種のゾル試料に,破断応力1.43(±0.14)×104N/m2 程度の4 mm 立方体のゲルを分散層として50% 容量含むゲル–ゾル混合系試料を調製し,ゾル試料とともに物性評価,健常若年者を被験者とした官能評価,嚥下造影検査を行った.官能評価より得られた口中感覚は,ゾル部分の物性が大きく影響していることが示された.また,嚥下造影検査の結果,ゾル試料では,中咽頭から下咽頭までのゾル試料の移動速度は,硬くなるに従い,遅くなる傾向を示した.また,ゾル試料,ゲル–ゾル混合系試料ともに,口中感覚ではかたく,べたつき感が多いマヨネーズ状試料の舌骨が急速前方運動を開始してから食塊が梨状陥凹に到達するまでの時間,すなわち嚥下反射惹起のタイミングは,サラダオイル状試料に比べ,遅くなる傾向を示した.また,サラダオイル状混合系試料では2 人,プレーンヨーグルト状混合系試料では1 人の被験者の嚥下直後,喉頭蓋谷にゲルの残留が認められた.被験者全員にゲルの一部の咽頭残留が認められなかったのは,マヨネーズ状混合系試料であった.サラダオイル状混合系試料のゾル部分はニュートン流体を示し降伏応力を有していないため,ゲルを覆いまとめる力がないので,咽頭通過時に食塊中のゲルが喉頭蓋谷に残留しやすくなるものと推測される.ゾル部分を山芋とろろによりプレーンヨーグルト程度,マヨネーズ程度と粘性を付与することで,ゾル部分の降伏応力が増加する.このことにより,食塊中のゾル部分がゲルを覆いまとめて咽頭を通過することで,喉頭蓋谷へのゲルの残留をより少なくするであろうことが推測される. |
---|---|
ISSN: | 1343-8441 2434-2254 |
DOI: | 10.32136/jsdr.14.3_201 |