II-P4-10 人工呼吸器装着下から上気道のクリアランスを図った症例

【はじめに】カフ付カニューレのサイドラインから圧縮空気を上気道に送り, 発声訓練を行う事がある. 今回, シリンジを用いて送気し, 発声訓練, 上気道の浄化を図った症例を報告する. 【症例】55歳男性. 病名:ギランバレー症候群. 既往:C型肝炎, 肝硬変. 平成20年10月頃に肩の脱力, 12月3日両下肢に脱力. 12月5日起き上がれず, 当院に入院. 【経過】入院4日目呼吸停止, 気管内挿管. 18日目気管切開術施行. サイドライン付カニューレ使用. 20日目PT・OT, 37日目ST開始. ST開始時, 四肢麻痺状態で, 体動は首振り, 頷きのみ. 栄養は経鼻胃管. 舌に麻痺は無く, 左...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.531-531
Hauptverfasser: 高木健吾, 岩田和郎, 中島知恵子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】カフ付カニューレのサイドラインから圧縮空気を上気道に送り, 発声訓練を行う事がある. 今回, シリンジを用いて送気し, 発声訓練, 上気道の浄化を図った症例を報告する. 【症例】55歳男性. 病名:ギランバレー症候群. 既往:C型肝炎, 肝硬変. 平成20年10月頃に肩の脱力, 12月3日両下肢に脱力. 12月5日起き上がれず, 当院に入院. 【経過】入院4日目呼吸停止, 気管内挿管. 18日目気管切開術施行. サイドライン付カニューレ使用. 20日目PT・OT, 37日目ST開始. ST開始時, 四肢麻痺状態で, 体動は首振り, 頷きのみ. 栄養は経鼻胃管. 舌に麻痺は無く, 左の顔面神経麻痺, 外転神経麻痺あり. 複視があり, 文字盤の使用は時間を要する. カフ上から一時間毎の吸引で15ccほど引ける. 随意嚥下可能だが, 喉頭挙上に制限あり. 嚥下に合わせてサイドラインよりシリンジで吸引すると, 嚥下時に抵抗があり, 嚥下後分泌物が引けてくる. 発声を促しながらシリンジで送気すると抵抗無く, 発声出来ないが口腔に分泌物上がる. 送気中に嚥下すると, カフ上に溜まる分泌物の量は減るが, 時にバッキングあり. 持続的な送気では嚥下によるバッキングのリスクがあった. 呼吸に合わせて50ccのシリンジで送気し, 嚥下時は止める形で上気道の浄化を図った. 併行して顔面のマッサージや口腔の運動を行った. 46日目に昼間のみ人工呼吸器離脱. 50日目シリンジの送気で単音, 64日目に単語の有声音発声が可能. 67日目からカフを脱気して発声訓練, 直接的嚥下訓練開始. 75日目カニューレ, 経鼻胃管抜去, キザミトロミ食開始. 80日目常食. 【考察】特別な器具や人工呼吸器の設定を変える事無く介入出来たが, リハ時のみしか行えず, どの程度効果があったかは不明. ただ, 回復に応じて吸引, 送気ともに抵抗の変化を直接感じることが出来た. 気管切開症例の嚥下評価に参考になる面もあると思われ, 今回の経験を今後に活かしていきたい.
ISSN:1343-8441