II-P4-3 嚥下障害を主訴とし再発性多発軟骨炎様の臨床症状を呈した1例
【目的】嚥下障害と嗄声を主訴とし, 気道軟骨の炎症を認め, ステロイド療法と嚥下機能訓練によって嚥下障害が改善した患者を経験したので報告する. 【症例】66歳男性で, 1カ月前から嗄声, 咽頭痛, 食思不振, 嚥下障害が出現し, 某院耳鼻科で再発性多発軟骨炎(RP)を疑われ, 本院膠原病内科を紹介された. 入院時検査では白血球10,740, CRP14.6と炎症所見を認めた. 頸部MRIでは喉頭から気管にかけて気道軟骨の炎症を認め, 声門レベルで気道狭窄をきたしていたが, 呼吸障害はなかった. 左耳介軟骨は結節状に変形していたが, 炎症所見を欠いていた. 嚥下機能は, 反復唾液嚥下が5回/30...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.527-527 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】嚥下障害と嗄声を主訴とし, 気道軟骨の炎症を認め, ステロイド療法と嚥下機能訓練によって嚥下障害が改善した患者を経験したので報告する. 【症例】66歳男性で, 1カ月前から嗄声, 咽頭痛, 食思不振, 嚥下障害が出現し, 某院耳鼻科で再発性多発軟骨炎(RP)を疑われ, 本院膠原病内科を紹介された. 入院時検査では白血球10,740, CRP14.6と炎症所見を認めた. 頸部MRIでは喉頭から気管にかけて気道軟骨の炎症を認め, 声門レベルで気道狭窄をきたしていたが, 呼吸障害はなかった. 左耳介軟骨は結節状に変形していたが, 炎症所見を欠いていた. 嚥下機能は, 反復唾液嚥下が5回/30秒可能であったが, 喉頭の可動性は不良であった. 改訂水飲みテストはプロフィール3bであり, 喉頭侵入した水は咳嗽で喀出可能であった. 初回の嚥下造影(VF)では, ゼリーの嚥下時に嚥下反射は速やかで喉頭挙上は1.5椎体分生じるものの, 頂点での保持が困難であり, 食道入口部での食槐の貯留がみられた. C6椎体レベルで食道前方の腫瘤による圧迫を認めた. ステロイドパルス療法に続き, ステロイド剤の内服(途中からMTXを併用)によって, 治療開始後2週間で炎症反応は陰性化した. また間接的嚥下訓練で気道閉鎖訓練, 喉頭挙上訓練を行った. 治療開始後2週間で嚥下困難感が改善し, 食事に要する時間は10分程度(全量摂取)となった. 2回目のVFでは, 依然として食道前方の軟部組織の肥厚による, 食道入口部での通過障害を認めるものの, 喉頭挙上時の最高点での保持が可能となった. 【考察】本症例では気道軟骨の炎症を認めたが, 四肢の関節炎, 鼻の軟骨炎, 眼の炎症, 聴覚・平衡感覚障害を伴わず, McAdamsらのRPの診断基準(1976年)を満たさなかった. ステロイド療法と嚥下機能訓練によって, 嚥下障害の改善が得られた. |
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ISSN: | 1343-8441 |