II-P1-9 中咽頭癌と胃癌の重複癌患者の術後経過についての一考察

【はじめに】以前当施設より, 胃切除が舌・中咽頭切除後再建例の嚥下機能に及ぼす影響について報告した. 今回我々は中咽頭癌と胃癌の重複癌で, 胃切除及び中咽頭癌切除・遊離皮弁移植による再建を行い, 退院後に嚥下障害のため再入院となった症例を経験し, 重複癌術後の退院支援を見直す契機を得たので報告する. 【症例】70歳代男性胃癌中咽頭癌(T4bN0M0)【経過】手術は, 胃全摘(Roux-Y再建)D2郭清空腸瘻造設下顎正中離断中咽頭側壁切除軟口蓋亜全摘舌根1/4部分切除前外側大腿皮弁による再建術左頸部郭清気管切開術を行った. 術後創部に大きな問題はなかった. 経腸栄養は4日目より腸瘻から投与を開始...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.494-494
Hauptverfasser: 岡田教子, 林隆一, 齋藤智恵美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】以前当施設より, 胃切除が舌・中咽頭切除後再建例の嚥下機能に及ぼす影響について報告した. 今回我々は中咽頭癌と胃癌の重複癌で, 胃切除及び中咽頭癌切除・遊離皮弁移植による再建を行い, 退院後に嚥下障害のため再入院となった症例を経験し, 重複癌術後の退院支援を見直す契機を得たので報告する. 【症例】70歳代男性胃癌中咽頭癌(T4bN0M0)【経過】手術は, 胃全摘(Roux-Y再建)D2郭清空腸瘻造設下顎正中離断中咽頭側壁切除軟口蓋亜全摘舌根1/4部分切除前外側大腿皮弁による再建術左頸部郭清気管切開術を行った. 術後創部に大きな問題はなかった. 経腸栄養は4日目より腸瘻から投与を開始した. 8日目の嚥下造影では誤嚥が認められたが, 咳嗽反射・喉頭挙上・鼻咽腔閉鎖は認められ, 間接訓練より開始した. 21日目より嚥下訓練用ゼリーにて直接訓練を開始し, 24日目よりミキサー食を開始した. 直接訓練開始後, 誤嚥性肺炎は認められなかった. 22日目に腸瘻が閉塞したが, とろみをつけて水分摂取ができたため腸瘻は閉鎖した. 7分粥5分菜刻み食で栄養指導を行い, 術後44日目に退院したが, その18日後脱水・低栄養により再入院となった. 【考察】再入院の原因となった脱水・低栄養は, 摂食・嚥下障害があったこと, 栄養管理方法の理解が不十分だったこと, 腸瘻を閉鎖したことで栄養補助手段がなかったことが考えられた. 必要な退院支援として, 患者, 家族に摂食・嚥下機能に応じた調理方法や必要栄養量と摂取するための具体的な方法を, 退院前に十分に理解してもらうことが挙げられる. また自宅で経口摂取が困難となる可能性を考え, 経腸栄養などの手段を確保しておく必要もあった. 高齢者世帯などの家族背景を踏まえ, 今後はより具体的な退院支援を検討していく必要がある.
ISSN:1343-8441