II-9-10 筋強直性ジストロフィー患者の口腔機能と嚥下造影検査所見との関係

【目的】筋強直性ジストロフィー(DM1)は, 筋萎縮, 筋強直, 多臓器障害を特徴とする遺伝性ミオパチーである. これまで演者らは, DM1患者は咬合力が弱く, 大きな筋活動量で代償して咀嚼をしている傾向があることを報告したが, 口腔機能と嚥下障害の関連について研究した報告は少ない. そこで, 今回DM1患者の口腔機能検査と嚥下造影検査を用いて各項目の相関関係について検討した. 【方法】対象は, 2007年2月からの30カ月間に福岡大学病院と大牟田病院神経内科でVFを受けたDM1患者15名(男性10名, 女性5名, 平均年齢49.3歳). 食事内容は常食が9名, 軟飯食2名, 粥食2名, ペー...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.475-476
Hauptverfasser: 梅本丈二, 北嶋哲郎, 古谷博和, 喜久田利弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】筋強直性ジストロフィー(DM1)は, 筋萎縮, 筋強直, 多臓器障害を特徴とする遺伝性ミオパチーである. これまで演者らは, DM1患者は咬合力が弱く, 大きな筋活動量で代償して咀嚼をしている傾向があることを報告したが, 口腔機能と嚥下障害の関連について研究した報告は少ない. そこで, 今回DM1患者の口腔機能検査と嚥下造影検査を用いて各項目の相関関係について検討した. 【方法】対象は, 2007年2月からの30カ月間に福岡大学病院と大牟田病院神経内科でVFを受けたDM1患者15名(男性10名, 女性5名, 平均年齢49.3歳). 食事内容は常食が9名, 軟飯食2名, 粥食2名, ペースト食2名であった. 口腔機能検査として咬合力, 咀嚼筋筋電図, 舌圧などの測定を行った. VF検査ではゼラチンゼリー約5mlを90度座位で咽頭残留物が全て通過するまで反復嚥下させた画像を解析し, 口腔咽頭通過時間, 下顎と舌の運動量, 舌骨挙上量, 咽頭残留物の面積などを測定し, 100点満点の嚥下障害スコアで評価した. 各測定項目について相関関係を検討した. 【結果と考察】口腔機能検査の測定値とVF像所見の間には相関関係は認めらなかったが, 咬合力と咀嚼筋活動量の間には有意な相関関係を認めた(r=-0.588, p<0.02). VF像での各解析項目については, 下顎運動距離と舌運動距離の間(r=0.886, p<0.01), 舌骨挙上距離と咽頭残留面積の間(r=0.531, p<0.05)や, 舌骨挙上距離と咽頭期嚥下障害スコアの間(r=0.598, p<0.03), さらに咽頭残留面積と咽頭期嚥下障害スコアの間(r=0.680, p<0.02)に有意な相関関係を認めた. 以上のことから, 咀嚼筋や舌筋の筋力低下はVF上では評価しにくいこと, さらに嚥下障害が進行し咽頭に残留しやすい患者ほど, 咽頭残留物を通過させるために努力嚥下を必要としていることが示唆された.
ISSN:1343-8441