II-9-2 オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)に対するVE・VFを用いた嚥下機能評価

【背景】嚥下障害は, 近年の高齢化社会やQOL尊重の社会的背景, 在院日数長期化, 在宅介護に支障をきたすなど関心が高まりその取り扱いが重要なものになってきている. 当院では2004年から耳鼻咽喉科, 神経内科, 脳神経外科, 言語聴覚士, 看護師, 管理栄養士が中心となった嚥下チームを立ち上げ, 現在では年間200件を超えるVE検査, VF検査を施行している. 検査を施行する疾患としては圧倒的に脳血管障害や, 神経筋疾患が多く, その数は当院で施行したVE・VF検査中の67.4%(392/582症例)を占めている. 当院では脊髄小脳変性症例の評価件数が多い特徴があり, その中でもオリーブ橋小...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.471-472
Hauptverfasser: 向出光博, 宮本康裕, 信清重典, 赤澤吉弘, 眞木二葉, 堀内正浩, 栃本しのぶ, 菅沙里江, 伊佐早久美子, 肥塚泉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【背景】嚥下障害は, 近年の高齢化社会やQOL尊重の社会的背景, 在院日数長期化, 在宅介護に支障をきたすなど関心が高まりその取り扱いが重要なものになってきている. 当院では2004年から耳鼻咽喉科, 神経内科, 脳神経外科, 言語聴覚士, 看護師, 管理栄養士が中心となった嚥下チームを立ち上げ, 現在では年間200件を超えるVE検査, VF検査を施行している. 検査を施行する疾患としては圧倒的に脳血管障害や, 神経筋疾患が多く, その数は当院で施行したVE・VF検査中の67.4%(392/582症例)を占めている. 当院では脊髄小脳変性症例の評価件数が多い特徴があり, その中でもオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)は小脳失調症状だけでなく錐体外路症状をきたし, 構音障害・嚥下障害も多く認められる. また, ゲルハルト症候群をきたすなど声帯運動の異常も報告されていることから, VF検査のみならず, VE検査を用いて評価する必要がある. 我々はOPCA症例に対しVE検査またはVF検査を施行した症例の検討を行ったので報告する. 【対象】症例は2004年7月から2008年3月までに当院に入院したOPCA症例のうち, VE検査またはVF検査を施行した症例31例(男性21例, 女性10例), 41~79歳(平均66.3歳)について後方視的に検討した. 【方法】VF22例, VE9例を実施した. 検査食はゼリー, トロミ水(水200mlに対して増粘剤3g), 米飯, 全粥, 水で行った. 【評価項目】経過年数, ICARS, 口腔期の遅延, 誤嚥の有無, 喉頭蓋谷への残留の有無, 梨状窩への残留の有無について評価した. 【結果】経過年数が長い症例では口腔期不良例が多かった. ICARSの高得点例(重症例)では喉頭蓋谷の残留症例が多かった. 声帯の動きが不良であった例は2例認めた. 【結語】OPCAに関してはVEを追加して評価することで, 食形態を早期に検討でき, 同時に声帯の動きを観察することが重要であった.
ISSN:1343-8441