II-8-6 320列面検出器型CTを用いた摂食・嚥下機能の運動学的検討
【目的】嚥下運動の形態および機能評価には, 臨床的に嚥下造影, 嚥下内視鏡がよく用いられているが, CTの臨床応用はなされていなかった. 今研究では, 320列面検出器型CT(以下320ADCT)を用いて摂食・嚥下動態を4次元で描出し, 関係する器官の動態の時間的関係を明らかにするとともに, 320ADCTの嚥下臨床・研究応用の可能性を探求した. 【方法】健常成人6名(28歳~66歳)を対象とした. 嚥下CT用に自作した検査用椅子に被検者を着座させ仰角を45~50°に調整した. 口腔内に希釈造影剤10mlを保持させ, 検査者の合図で嚥下を開始させ, 1回の嚥下を3.15秒間連続撮影した. 使用...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.470-471 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】嚥下運動の形態および機能評価には, 臨床的に嚥下造影, 嚥下内視鏡がよく用いられているが, CTの臨床応用はなされていなかった. 今研究では, 320列面検出器型CT(以下320ADCT)を用いて摂食・嚥下動態を4次元で描出し, 関係する器官の動態の時間的関係を明らかにするとともに, 320ADCTの嚥下臨床・研究応用の可能性を探求した. 【方法】健常成人6名(28歳~66歳)を対象とした. 嚥下CT用に自作した検査用椅子に被検者を着座させ仰角を45~50°に調整した. 口腔内に希釈造影剤10mlを保持させ, 検査者の合図で嚥下を開始させ, 1回の嚥下を3.15秒間連続撮影した. 使用機器は東芝Aquilion ONE, 撮影条件は120kV, 60mA, 0.5mm×320mm, 0.35s/回転×9回転, 撮影範囲は頭蓋底から頸部食道まで160mmとした. 撮影後, 連続データから画像を0.1秒間隔で再構成した. CT付属のソフトウェアで多断面再構成像(MPR)とボリュームレンダリング法による4次元画像を作成し, 舌骨, 喉頭蓋, 喉頭前庭, 声帯, 食道入口部の各運動を計測し時間的関係を検討した. 【結果】嚥下運動を4次元的に描出でき, 造影剤の移動と各構造の経時的変化を立体的に観察することができた. 全体として嚥下運動は, 最初に舌骨が挙上を開始し, 次いで喉頭蓋が下方へ偏位, 咽頭食道接合部が開大, さらに舌骨の最大挙上位への移動と喉頭前庭閉鎖と声帯閉鎖がほぼ同時期に生じた. 声帯の閉鎖期間は約0.4~0.5秒間程度であった. 【考察】今研究で, 嚥下運動を初めてボリュームデータとして獲得でき, 4次元画像の作成に成功した. 従来の検査法では限界があった嚥下運動に関わる構造を4次元的に観察, 計測が可能であった. 特に声帯の閉鎖と喉頭前庭の閉鎖と喉頭蓋の反転を区別して計測することができた. これらの所見は嚥下時の喉頭閉鎖メカニズム解明に役立つものと考えられた. 今後, 同方法による摂食・嚥下の動態解明や臨床応用をさらに進める予定である. |
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ISSN: | 1343-8441 |