II-5-17 舌悪性腫瘍切除後の摂食・嚥下障害に対して人工舌床・PAPが効果的であった症例
【緒言】演者らは, 第13回摂食・嚥下リハビリテーション学会において, 人工舌床の有効性について発表した. 今回, 舌悪性腫瘍に伴う舌の広範囲の切除および再建術後において, 舌の運動障害による摂食・嚥下障害が生じた症例について人工舌床とPAP(舌接触補助床)の併用により, 摂食・嚥下機能の改善が得られたので報告する. 【症例】52歳女性. 原因疾患は, 舌癌(右側縁部, T2N0M0). 2008年7月に他院にて舌亜全摘, 両頸部郭清術, 気管切開, 遊離腹直筋による再建を行うが, 同8月術後感染による血行不良により壊死変形を認める. 2008年10月に退院. その後, 摂食・嚥下障害のリハビ...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.449-449 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【緒言】演者らは, 第13回摂食・嚥下リハビリテーション学会において, 人工舌床の有効性について発表した. 今回, 舌悪性腫瘍に伴う舌の広範囲の切除および再建術後において, 舌の運動障害による摂食・嚥下障害が生じた症例について人工舌床とPAP(舌接触補助床)の併用により, 摂食・嚥下機能の改善が得られたので報告する. 【症例】52歳女性. 原因疾患は, 舌癌(右側縁部, T2N0M0). 2008年7月に他院にて舌亜全摘, 両頸部郭清術, 気管切開, 遊離腹直筋による再建を行うが, 同8月術後感染による血行不良により壊死変形を認める. 2008年10月に退院. その後, 摂食・嚥下障害のリハビリ目的で同年10月当センターに紹介来院した. 口腔内所見として, 皮弁は瘢痕性で不動性であり, その後方に舌根部が残存する状態であった. 摂食状況は, ペースト食をむせながら摂取している状況であった. 舌による送り込みが不可能なため, 嚥下時に上体を後屈させる代償法を行っていた. 【方法】製作した人工舌床は, 中央部に食塊を流れやすくするための遁路を設け, 後縁は舌根部より移行的に咽頭に達するような形態とした. PAPは人工舌床の遁路に合うように作成し, 押しつぶしができるように工夫した. 人工舌床・PAP装着時, 非装着時の口腔期・咽頭期の障害について, テストフードを用いてVE・VF上で評価・検討した. 【結果】人工舌床装着後は, 上体を後屈させることなく摂取可能となった. PAP装着後は, 押しつぶしができることにより固形物の摂取も可能となった. また摂食時間が短縮し, 初診時に比べ体重の増加も認められた. 【考察】本症例は, 人工舌床のほかに固形物の摂取ができるようにPAPを製作した. その結果, 口腔期・咽頭期の障害が改善し体重が増加した. さらに外出先で食事を取れるようになった等の生活の質の向上が認められた. 本症例より, 摂食・嚥下リハビリテーションにおける補綴装置(人工舌床・PAP)の有効性が示された. |
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ISSN: | 1343-8441 |