I-P4-20 嚥下躊躇(嚥下失行)を呈した2症例
【はじめに】嚥下躊躇(嚥下失行)は今までに症例報告はあるものの, その病態や病巣については未だ不明な点も多い. 今回, 嚥下躊躇(嚥下失行)を呈した2症例を経験したので報告する. 【症例1】68歳男性, 左利き. 歩行困難となり当院受診. 左中大脳動脈領域皮質下の脳梗塞を認め入院となった. 発症当日は自力摂取が可能であったが, 3日目には症状が進行し, 全失語・右片麻痺・構音障害・口部顔面失行を認め, 食物は口腔内で停滞し嚥下困難な状態となった. 9日目, 経鼻経管栄養開始. 14日目, 経口摂取再開したが嚥下困難さは変わらず, 嚥下運動における錯行為や努力が観察された. 30日目にVF施行....
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.394-394 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 【はじめに】嚥下躊躇(嚥下失行)は今までに症例報告はあるものの, その病態や病巣については未だ不明な点も多い. 今回, 嚥下躊躇(嚥下失行)を呈した2症例を経験したので報告する. 【症例1】68歳男性, 左利き. 歩行困難となり当院受診. 左中大脳動脈領域皮質下の脳梗塞を認め入院となった. 発症当日は自力摂取が可能であったが, 3日目には症状が進行し, 全失語・右片麻痺・構音障害・口部顔面失行を認め, 食物は口腔内で停滞し嚥下困難な状態となった. 9日目, 経鼻経管栄養開始. 14日目, 経口摂取再開したが嚥下困難さは変わらず, 嚥下運動における錯行為や努力が観察された. 30日目にVF施行. 粥やミンチ食よりも液体や軟飯で嚥下が促進された. 液体でも誤嚥は認めなかった. 【症例2】95歳男性. 既往に認知症があるが, 基本的な日常生活行為は可能. 嚥下困難を主訴に当院を受診し, 左前大脳動脈と中大脳動脈との分水嶺に脳梗塞を認め入院となった. 身体の麻痺・構音障害・失語症は認めず, 軽度口部顔面失行・自発性低下・嚥下躊躇を認めた. 発症から数日間は, 全く嚥下困難な時もあれば, 自力で常食を全量摂取する時もあった. 食事の嚥下に躊躇した際にも, 自然な形でペットボトルを手渡すとお茶の摂取が可能であった. 日数の経過とともに嚥下への諦めや拒否傾向を示し, 発症8日目に胃瘻造設. 26日目に施行したVFでは, 固形ゼリーでは全く送り込みが認められないが, 液体のシリンジ注入では嚥下可能であった. 【考察】症例1は比較的広範な皮質下病巣で, 様々な合併症状(麻痺・失語等)とともに嚥下躊躇が出現したが, 症例2は症例1に比べ限局的な病巣で, 嚥下躊躇のみがほぼ単一で出現したという点で相違があった. 両症例ともに嚥下困難さが, 麻痺や失調, 精神症状等で説明のつくものではなく, 症状の特徴からも失行の要素が考えられる. また, その症状発現に, 左半球皮質下病変の関連が示唆される. |
---|---|
ISSN: | 1343-8441 |