I-7-16 パーキンソン病における嚥下障害
【背景】1817年James Parkinsonが報告した「振戦麻痺に関する論文」の中で, 嚥下障害に関する記載は『パーキンソン病の嚥下障害は口腔内に食塊が入った後の咀嚼・嚥下運動に時間がかかる. 嚥下に関する協調運動が困難である. 』となっている. しかし, 現在までパーキンソン病における嚥下障害にはバリエーションが多く, つかめていない部分も多い. 【目的】慢性虚血性変化のみをきたす, 神経疾患の既往のない誤嚥性肺炎患者と比較することでパーキンソン病の嚥下障害の特徴を明らかにすることを目的とした. 【対象】2004年6月から2009年3月までに誤嚥性肺炎にて入院となったパーキンソン病患者5...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.330-330 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【背景】1817年James Parkinsonが報告した「振戦麻痺に関する論文」の中で, 嚥下障害に関する記載は『パーキンソン病の嚥下障害は口腔内に食塊が入った後の咀嚼・嚥下運動に時間がかかる. 嚥下に関する協調運動が困難である. 』となっている. しかし, 現在までパーキンソン病における嚥下障害にはバリエーションが多く, つかめていない部分も多い. 【目的】慢性虚血性変化のみをきたす, 神経疾患の既往のない誤嚥性肺炎患者と比較することでパーキンソン病の嚥下障害の特徴を明らかにすることを目的とした. 【対象】2004年6月から2009年3月までに誤嚥性肺炎にて入院となったパーキンソン病患者50例と頭部MRI上, 慢性虚血性変化のみをきたす, 神経疾患の既往のない誤嚥性肺炎患者50例を対象とした. パーキンソン病群は平均年齢は77±4.7歳であった. Yahr3は22例, Yahr4は10例, Yahr5は18例, 平均経過年数は12年(1~29年)であった. 慢性虚血50例(NPD群)の平均年齢は79±8.6歳であった. 【方法】全例にVEもしくはVF検査を施行した. 以下の評価項目についてx2検定を行った. 【評価項目】嚥下検査における分割嚥下, 食塊形成不全, 喉頭侵入, 嚥下反射の遅延, 咽頭収縮の減弱反射前の咽頭流入, 誤嚥, 喉頭蓋谷への貯留, 梨状窩への貯留について評価した. 【結果】分割嚥下と食塊形成不全, 鼻咽腔への逆流はパーキンソン病に有意に多く, 嚥下反射の遅延はNPD群に多く認められた. 【考案】過去の報告では口腔期では奥舌の舌背が高いままなので食塊が超えられず, 前方に戻り, 送り込むまでに何度も前後運動を繰り返し, (舌筋の固縮)咽頭期では咽頭壁の収縮と舌根の後方への突出が減弱しているため, 嚥下動作後に食塊が喉頭蓋谷と梨状窩に残留していると言われている. 本研究ではパーキンソン病の嚥下障害では鼻咽腔への逆流も特徴的であると考えられた. |
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ISSN: | 1343-8441 |