I-3-3 重度廃用を伴った両側反回神経麻痺による嚥下障害
【背景】嚥下障害のために手術を要する症例を診断し治療する社会資源は乏しい. 今回重度嚥下障害について放置され廃用症候群を合併したために手術療法単独では改善しなかった症例を経験したので報告する. 【症例と病歴】63歳男性. 平成19年8月屋根から転落し脳挫傷にてA病院でPEG実施後Bリハ病院へ転院. 肺炎でA病院に移り治癒後C病院精神科に転院. 絶食のままで拘束され入院生活. 平成20年6月出血性胃潰瘍, 嚥下性肺炎でA病院に転院. 妻から嚥下治療希望あり当院から診療支援を行い両側反回神経麻痺で手術を要する見込みで7月当院転院となった. 【入院後経過】食道入口部開大がほとんどなく棚橋法の適応と診...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.291-291 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【背景】嚥下障害のために手術を要する症例を診断し治療する社会資源は乏しい. 今回重度嚥下障害について放置され廃用症候群を合併したために手術療法単独では改善しなかった症例を経験したので報告する. 【症例と病歴】63歳男性. 平成19年8月屋根から転落し脳挫傷にてA病院でPEG実施後Bリハ病院へ転院. 肺炎でA病院に移り治癒後C病院精神科に転院. 絶食のままで拘束され入院生活. 平成20年6月出血性胃潰瘍, 嚥下性肺炎でA病院に転院. 妻から嚥下治療希望あり当院から診療支援を行い両側反回神経麻痺で手術を要する見込みで7月当院転院となった. 【入院後経過】食道入口部開大がほとんどなく棚橋法の適応と診断しD病院耳鼻科と相談し8月転院. 4日後, 輪状咽頭筋切断術実施. 術後食道入口部開大不全に改善なし. 9月当院転院. 術中所見からは筋切断は確実に行われており, 廃用による軟部組織の萎縮が食道入口部開大不全の原因と推測した. 筒状バルーンでのブジーを慎重に繰り返した. 平成21年2月食道入口部の十分な開大を確認し経口摂取での食事を開始. 3月ミキサー食にて必要量の摂取が可能となり胃瘻からの注入は終了. 【考察】バルーンブジーの効果は機能的狭窄では一時的であるが器質的狭窄では長期的といわれる. 輪状咽頭筋切断術により機能的狭窄要因を排除し4カ月以上に及ぶブジーで器質的狭窄を改善した. 手術のできる病院と長期間集中訓練ができる回復期病棟が連携することで治療が可能となった. 【まとめ】どんな嚥下障害でも食べる意思さえあれば安全な経口摂取を獲得する方法がある. 適切な対応をされなければ嚥下障害はさらに重度化し治療が困難になる. 正確な診断がもっとも大切になる. 今回のケースのように放置された嚥下障害患者を救い出すため, 作らないために嚥下治療の専門家を育てることが望まれる. |
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ISSN: | 1343-8441 |