低粘性液状食品の粘性の相違が嚥下時の口蓋帆挙筋活動におよぼす影響

【目的】嚥下時の口腔相から咽頭相への移行段階は,低粘性の液状食品の誤嚥の発生起点のひとつである.誤嚥を予防する目的で、トロミ調整食品等を用いて,低粘性の液状食品にトロミを付与することがしばしばある.しかしながら,トロミを付与された液状食品の物性と移行段階の調節様相との関係は不明である.本研究の目的は,近似したニュートン特性をもつ液状食品(水,牛乳)の粘度の相違が,移行段階の調節にどう影響するかを,口蓋帆挙筋筋電図により検討することである.【対象と方法】対象は21 歳~32 歳の健常成人10 名(平均年齢:24.0 歳,SD:2.9 歳)とした.各被験者での水と牛乳の至適嚥下量の平均値を一回嚥下...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009/08/31, Vol.13(2), pp.128-134
Hauptverfasser: 河合, 利彦, 舘村, 卓, 外山, 義雄, 阪井, 丘芳
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】嚥下時の口腔相から咽頭相への移行段階は,低粘性の液状食品の誤嚥の発生起点のひとつである.誤嚥を予防する目的で、トロミ調整食品等を用いて,低粘性の液状食品にトロミを付与することがしばしばある.しかしながら,トロミを付与された液状食品の物性と移行段階の調節様相との関係は不明である.本研究の目的は,近似したニュートン特性をもつ液状食品(水,牛乳)の粘度の相違が,移行段階の調節にどう影響するかを,口蓋帆挙筋筋電図により検討することである.【対象と方法】対象は21 歳~32 歳の健常成人10 名(平均年齢:24.0 歳,SD:2.9 歳)とした.各被験者での水と牛乳の至適嚥下量の平均値を一回嚥下作業量とした.各試料嚥下時の口蓋帆挙筋活動を採取した.試料ごとに得られた有効な筋活動10 回を解析対象とした.解析対象とした筋活動量は,各被験者の全作業を通じて得られた筋活動の最大値を100% として,各筋活動値を正規化した%筋活動量とした.得られた%筋活動量を,被験者ごとに試料間で比較し(対応のあるt検定),また被験者全員について得られた% 筋活動量をまとめ,試料間で比較した(対応のあるt検定).【結果】各被験者の嚥下時の口蓋帆挙筋の%筋活動量(平均%筋活動量±標準偏差)は,水嚥下時は76.1±12.8%~93.8±4.8%,牛乳嚥下時は65.0±2.2%~86.5±5.5% であった.水と比較して牛乳のほうが有意に低かった被験者は10 名中7 名であった(p<0.05).%筋活動量を被験者全体でまとめた結果,水は87.2±9.7%,牛乳は77.6±8.4% であり,牛乳嚥下時は,水嚥下時と比較して有意に小さかった(p<0.01).
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.13.2_128