II-P4-20 摂食・嚥下障害患者に対するゼリー作成用ゲル化剤の臨床的有用性(第2報)~交互嚥下の適用に関する検討

【目的】我々は融解や離水の少ないゼリーを調製できるゲル化剤(日清サイエンス(株), ゼリーパーフェクト(R))を開発し, 摂食・嚥下障害患者に対しての嚥下内視鏡検査を行なった結果, 誤嚥及び喉頭内侵入の有無においてゼラチンゼリーと統計的な差は見られず, 口腔や咽頭で停留しやすい症例においても有用であることを過去に報告した. 一方, ゼラチンゼリーの利点のひとつに, 交互嚥下における咽頭残留物のwashout効果がある. そこで, 摂食・嚥下障害患者に対する咽頭残留物のwashout効果に関して, ゼリーパーフェクトで調製したゼリー(以下JPゼリー)とゼラチンゼリーでの比較を行ったので報告する....

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2008, Vol.12 (3), p.466-467
Hauptverfasser: 佐野淳也, 戸原玄, 三串伸哉, 都島千明, 梅田慈子, 山口朱見, 十時久子, 植松宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】我々は融解や離水の少ないゼリーを調製できるゲル化剤(日清サイエンス(株), ゼリーパーフェクト(R))を開発し, 摂食・嚥下障害患者に対しての嚥下内視鏡検査を行なった結果, 誤嚥及び喉頭内侵入の有無においてゼラチンゼリーと統計的な差は見られず, 口腔や咽頭で停留しやすい症例においても有用であることを過去に報告した. 一方, ゼラチンゼリーの利点のひとつに, 交互嚥下における咽頭残留物のwashout効果がある. そこで, 摂食・嚥下障害患者に対する咽頭残留物のwashout効果に関して, ゼリーパーフェクトで調製したゼリー(以下JPゼリー)とゼラチンゼリーでの比較を行ったので報告する. 【方法・対象】かぼちゃの含め煮のペースト食で咽頭残留をみとめた摂食・嚥下障害患者15名(男性3名・女性12名, 平均年齢80.1歳)においてティースプーン1杯程度のゼリーを各1回交互嚥下させた際のwashout効果及び誤嚥・喉頭内侵入について嚥下内視鏡にて確認した, 咽頭残留量に関しては4段階(多量残留・少量残留・びまん性残留・残留なし)に分類し, 1段階でも少なくなった場合に, washout効果があると診断した. ゼリーの溶媒には市販の緑茶を用い, ゼリー濃度はJPゼリーは1.2%, ゼラチンゼリーは1.6%とした. 【結果・考察】washout効果は, Jpゼリー, ゼラチンゼリーともに11例で確認されたが, 多量残留から残留なしに変化した症例は, ゼラチンゼリー3例に対し, JPゼリーは1例であり, 残留物の除去量ではゼラチンゼリーの方がやや優れた結果となった. しかしゼラチンゼリーは, ゼリーが液化した状態で流入したことが原因による誤嚥が2例, 喉頭内侵入が5例あり, 液化による誤嚥の危険性が認められた. 一方, JPゼリーではゼリーが融解した所見は見られず, 喉頭内侵入が2例あるものの, 誤嚥は観察されなかった. このことから, ゼラチンゼリーはJPゼリーよりも咽頭残留物を除去しやすい傾向がみられるが, 誤嚥のリスクも高まるため, 症例や目的に応じた適用が必要であると考えられた.
ISSN:1343-8441