II-P4-15 凍結含浸法を用いた介護食の硬さ制御

【目的】凍結含浸法は, 食材を凍結, 解凍することで植物組織崩壊酵素を内部にまで効率的に含浸する技術であり, 食材の形状を保持したまま硬さを制御することができる. これまで含浸後の酵素反応を至適温度である50℃で行い, 嚥下食レベルまで軟化する手法を報告してきた. この場合, 酵素反応が速く, 元の食材との中間的な硬さに制御するには熟練を要した. 本演題では, 中間的な硬さに制御しやすくするための, 酵素濃度, 酵素反応温度について検討したので報告する. 【方法】凍結含浸にはゴボウ, レンコン, タケノコを用いた. 酵素溶液は, 食材ごとに通常濃度, 低濃度の2種類を用いた. 厚さ1cmの食材...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2008, Vol.12 (3), p.464-464
Hauptverfasser: 坂本宏司, 中津沙弥香, 石原理子, 柴田賢哉, 麻生智洋, 田中信吾, 漆原貴, 福田康彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】凍結含浸法は, 食材を凍結, 解凍することで植物組織崩壊酵素を内部にまで効率的に含浸する技術であり, 食材の形状を保持したまま硬さを制御することができる. これまで含浸後の酵素反応を至適温度である50℃で行い, 嚥下食レベルまで軟化する手法を報告してきた. この場合, 酵素反応が速く, 元の食材との中間的な硬さに制御するには熟練を要した. 本演題では, 中間的な硬さに制御しやすくするための, 酵素濃度, 酵素反応温度について検討したので報告する. 【方法】凍結含浸にはゴボウ, レンコン, タケノコを用いた. 酵素溶液は, 食材ごとに通常濃度, 低濃度の2種類を用いた. 厚さ1cmの食材を酵素液に浸漬して解凍後, 真空ポンプを用いて5分間減圧含浸後, 酵素液から取り出して4℃または50℃で酵素反応させた. 硬さはテンシプレッサー(タケトモ電機)を用いて経時的に測定を行った. なお, 目標とする硬さの平均値を1×10, 5(N/m2)とした. 【結果・考察】食材の硬さ測定の結果, 平均値が同じ1×10, 5(N/m2)であっても, 低濃度の酵素液を用いて4℃で長時間酵素反応した方が, 通常濃度の酵素液を用いたものや50℃で短時間反応したものに比べて個体間や部位による硬さのばらつきが少なかった. 硬さの経時変化を調べた結果, 酵素濃度, 酵素反応温度に関わらず, 最終的には同程度の硬さに収束した. これらの結果, 元の食材と最大限に軟化した食材の中間的な硬さに制御するには, 酵素濃度および酵素反応温度を下げて反応速度を緩やかにする方法が示唆される. また, 低温反応により長時間の酵素反応が可能になったことで, 酵素の食材内での分布がより均一化され, 個体間や部位による硬さのばらつきが少ない食材を作製することが可能となった. また, 摂食試験においても良好な反応が得られた.
ISSN:1343-8441