II-6-29 間欠的経鼻胃管法と気切カニューレの工夫に伴い嚥下障害が改善した一例

【はじめに】当院では, 様々な疾患により長期間経口摂取を制限され, 入院時より嚥下機能が低下する高齢者が多くみられる. 平成17年10月に発足したNSTでは, 言語聴覚士(以下ST)がこのような患者に対し嚥下機能評価を行っている. 摂食・嚥下障害や低栄養などの症例に対し, NSTは多職種の評価を元に種々の提案をしている. 今回, NSTの適時的な提案と主治医, 病棟との連携により嚥下障害が改善した症例を経験したので報告する. 【症例】80代男性. 平成19年5月に急性膵炎, 重症肺炎のため当院外科入院. 入院後CO2ナルコーシスとなり, レスピレータ管理となった. 抜管後は気切カニューレ使用....

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2008, Vol.12 (3), p.427-427
Hauptverfasser: 松田はるか, 清水亜紀子, 清水茜, 西出直人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】当院では, 様々な疾患により長期間経口摂取を制限され, 入院時より嚥下機能が低下する高齢者が多くみられる. 平成17年10月に発足したNSTでは, 言語聴覚士(以下ST)がこのような患者に対し嚥下機能評価を行っている. 摂食・嚥下障害や低栄養などの症例に対し, NSTは多職種の評価を元に種々の提案をしている. 今回, NSTの適時的な提案と主治医, 病棟との連携により嚥下障害が改善した症例を経験したので報告する. 【症例】80代男性. 平成19年5月に急性膵炎, 重症肺炎のため当院外科入院. 入院後CO2ナルコーシスとなり, レスピレータ管理となった. 抜管後は気切カニューレ使用. 栄養方法は経鼻経管栄養. 【経過】平成19年8月主治医より経口摂取希望でNST依頼あり. STが間接訓練開始. 9月よりキシリトールアイスの摂取を開始するが食後にむせあり. NSTから日中は経鼻胃管を抜くことを提案. 翌日より経管栄養を夕方から朝にかけてポンプで持続投与し, 日中は経鼻胃管を抜いて直接訓練を行った. またVFを実施し嚥下機能を評価した. 結果粥は喉頭侵入し, その後誤嚥し, DSS2であった. 誤嚥のなかったゼリーを用い, STで直接訓練を開始した. 10月NSTより気切カニューレを細経のものにすることを提案翌々日より気切カニューレをトラヘルパーRに交換した. 2回目のVFを施行した結果誤嚥なくDSS4であった. 翌日経管栄養を終了とし経口摂取を進めた. 11月に刻みとろみ食全量摂取可能となり, 気切カニューレを抜去. 12月に軟飯軟菜全量自己摂取となった. 【まとめ】経鼻胃管や気切カニューレが嚥下にはマイナスの要因となることをNSTから啓発する必要性を感じ, 主治医の理解や病棟の協力が不可欠であることを再確認した.
ISSN:1343-8441