II-6-23 リクライニング位における頸部角度が摂食・嚥下機能に及ぼす影響

【緒言】摂食・嚥下障害に対する代償法の1つにリクライニング位がある. リクライニング位の利点として, 1)重力の影響により, 食塊の咽頭への送り込みを改善する, 2)食塊が傾斜した咽頭後壁を伝うことで食塊の進行速度を緩和し嚥下反射遅延を代償する, 3)喉頭が食道よりも上方に位置することで喉頭閉鎖不全を代償する, などが挙げられる. リクライニング位をとる際は頭部伸展が起こりやすく注意が必要であり, その対処法として頸部屈曲を行うべきとする成書が少なくない. しかし前述の利点は頸部が傾斜している結果生じるものであり, 頸部屈曲はリクライニングの効果を減じてしまう可能性がある. 今研究の目的はリク...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2008, Vol.12 (3), p.424-424
Hauptverfasser: 梅田慈子, 三串伸哉, 中根綾子, 村田志乃, 大内ゆかり, 若杉葉子, 高島真穂, 都島千明, 鈴木瑠璃子, 植松宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【緒言】摂食・嚥下障害に対する代償法の1つにリクライニング位がある. リクライニング位の利点として, 1)重力の影響により, 食塊の咽頭への送り込みを改善する, 2)食塊が傾斜した咽頭後壁を伝うことで食塊の進行速度を緩和し嚥下反射遅延を代償する, 3)喉頭が食道よりも上方に位置することで喉頭閉鎖不全を代償する, などが挙げられる. リクライニング位をとる際は頭部伸展が起こりやすく注意が必要であり, その対処法として頸部屈曲を行うべきとする成書が少なくない. しかし前述の利点は頸部が傾斜している結果生じるものであり, 頸部屈曲はリクライニングの効果を減じてしまう可能性がある. 今研究の目的はリクライニング位における頸部角度が摂食・嚥下機能に及ぼす影響を検討することである. 【対象と方法】治療目的でVF検査を行い, リクライニング位(45度)を利用した14名を対象とした. 座位および, リクライニング45度においては1)頸部中間位(以下, 中間位)2)頸部屈曲位(以下, 屈曲位)で造影剤(ハチミツ状50%バリウム水溶液4ml)を嚥下させ, 頸部角度および口腔, 咽頭移送時間の計測を行った. 【結果と考察】口腔移送時間は座位に比ベリクライニング45度で短縮傾向が見られ, 屈曲位に比べ中間位で有意に短かった. 咽頭移送時間は各姿勢において違いは認められなかった. 頸部角度は中間位に比べ屈曲位で約20度頸部が起立していた. 特に口腔期障害のある患者では中間位のみ口腔移送時間が短縮され, 中間位が食塊の送り込みの改善に有効であると思われた. 誤嚥・喉頭侵入に関しては各姿勢により明らかな差は見られなかったが, これは使用した検査食が比較的安全性の高い形態であったことによると考えられる. 今後は異なる検査食や角度でも分析を行い, リクライニング位における頸部肢位について検討したい.
ISSN:1343-8441