II-5-21 舌接触補助床の調整における舌圧測定システム使用の試み
【はじめに】舌接触補助床(以下, PAP)の作製および調整はパラトグラムおよび聴覚的印象を用いて評価されることが多く, 頻回な調整が必要である. 今回, より簡便に効果的なPAPを作製することを目的に, 中咽頭腫瘍摘出術例1例に対し舌圧測定システムを使用し調整を試みた. 【症例】51歳, 女性. 中咽頭側壁癌T1N2bM0にて化学療法および放射線治療実施. 経過観察中に左頸部・リンパ節に再発. 中咽頭腫瘍摘出術, 左頸部郭清術, 腹直筋遊離皮弁再建術, 喉頭挙上術を施行. 術後25日より固形物の送り込み困難にて摂食・嚥下リハ開始. 初期評価は歯列の状態はEichner分類にてB3, 開口制限有...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2008, Vol.12 (3), p.406-407 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】舌接触補助床(以下, PAP)の作製および調整はパラトグラムおよび聴覚的印象を用いて評価されることが多く, 頻回な調整が必要である. 今回, より簡便に効果的なPAPを作製することを目的に, 中咽頭腫瘍摘出術例1例に対し舌圧測定システムを使用し調整を試みた. 【症例】51歳, 女性. 中咽頭側壁癌T1N2bM0にて化学療法および放射線治療実施. 経過観察中に左頸部・リンパ節に再発. 中咽頭腫瘍摘出術, 左頸部郭清術, 腹直筋遊離皮弁再建術, 喉頭挙上術を施行. 術後25日より固形物の送り込み困難にて摂食・嚥下リハ開始. 初期評価は歯列の状態はEichner分類にてB3, 開口制限有り. 舌突出は右側に偏位し赤唇まで可能. 舌の挙上範囲に低下. 発話明瞭度2, 嗄声(努力性・気息性)を認めた. 嚥下機能はRSST4回, VEにて水分誤嚥を認めため訓練を実施. 術後61日のVFにて送り込み障害, 口腔内残留がみられPAPの作製を開始した. 【PAPの作製及び調整方法】従来のパラトグラムに変え舌圧測定ニッタ(株)のスワロースキャンを使用し調整を行った. 舌圧測定使用の妥当性を見るため, PAPの完成度をVF, 主観的な「飲みやすさ」, 100単音明瞭度検査にて評価した. 【結果】舌と口蓋の接触点, 位置による圧の差異および持続時間の差異により, 作製前は中央部の一部のみが接触し, 作製後は左側周縁部の接触, 開始が遅く圧が弱いこと, 第1回調整後は左右側周縁部に比し舌尖部の接触が遅れることが明らかに示された. 第2回調整後は小野ら(2006)の健常成人での舌圧の発現順序と同様の順序で接触した. 各チャンネルの舌圧パターンは, ペースト4ml, 液体4ml・10mlにてほぼ一致しており食形態や一口量の違いによっても同様の舌運動がみられた. VFでは混合物にて咽頭への送り込み, 口腔内残留なく嚥下可能となった. また主観的な「飲みやすさ」は調整を重ねるごとに向上した, 100単音節検査による明瞭度には明らかな変化は認めなかったが, 歯茎で産生する/t/音は第2回調整後に有意な改善を認めた. 【考察】パラトグラムでは接触位置の確認は可能だが, 接触順序, 圧力の測定は困難であるのに比べ, 舌圧測定システムは容易な測定操作で接触位置, 順序, 圧力の測定し定量化して測定可能なことにより運動の再現性の確認や位置により圧を繰り返し確認できた. これによりPAPの調整および作製を簡便に行うことが可能であり舌圧測定システムの使用の有用性が示唆された. |
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ISSN: | 1343-8441 |