II-5-12 脳卒中回復期における嚥下障害の予後予測(第2報) -多重ロジスティック解析による予後予測モデルの作成
【はじめに】脳卒中発症後嚥下障害が遷延化した場合, 経口のみで栄養可能となる症例がある一方, 経管栄養継続を余儀なくされる症例がしばしば見受けられる. リハビリアプローチの決定やゴール設定のためには, 回復に関する予後予測が必要であるにも関わらず, 従前の報告は少ない, 第12回(2006年)本学会にて, 脳卒中症例における予後予測モデルの試案を報告した. 今回診断名を限定, データ数を増やし再検討を行ったため, その結果を報告する. 【対象・方法】2004年10月~2007年12月に回復期病棟へ入院した脳卒中症例, 初発, テント上病変, 藤島の嚥下障害グレード(以下Gr. )Iの30例を対...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2008, Vol.12 (3), p.402-403 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】脳卒中発症後嚥下障害が遷延化した場合, 経口のみで栄養可能となる症例がある一方, 経管栄養継続を余儀なくされる症例がしばしば見受けられる. リハビリアプローチの決定やゴール設定のためには, 回復に関する予後予測が必要であるにも関わらず, 従前の報告は少ない, 第12回(2006年)本学会にて, 脳卒中症例における予後予測モデルの試案を報告した. 今回診断名を限定, データ数を増やし再検討を行ったため, その結果を報告する. 【対象・方法】2004年10月~2007年12月に回復期病棟へ入院した脳卒中症例, 初発, テント上病変, 藤島の嚥下障害グレード(以下Gr. )Iの30例を対象とした. 年齢中央値は76歳(50-94歳), 発症から当院入院までの日数は中央値44日(18-64日). 退院時, 経口のみで栄養可能(Gr. III)となったものを回復群, 一部でも経管栄養を必要としたもの(Gr. I+II)を非回復群とし, 目的変数とした. 説明変数は, 前回の研究で有意差をみとめた年齢, 発症からの日数, 入院時のFunctional Independence Measure運動項目合計点(以下FIM運動)および認知項目合計点(以下FIM認知)とした. これらの変数を用いて多重ロジスティック解析を行った. 【結果】退院時, 回復群12例, 非回復群18例. 多重ロジスティック解析より, 予測式=FIM運動×0.770 + FIM認知0.088 - 年齢×0.255 - 発症からの日数×0.070 + 切片10.222 を作成した(R2乗値0.52, ROC曲線下面積0.93). 回復に到達する確率は, 予測値=-1で約25%, 0で約50%, 1で約75%であった. 【まとめ】今回我々は脳卒中回復期における嚥下障害の予後予測式を作成した. 嚥下機能の回復はFIM運動と密接な関係があることが示唆された. またFIM認知は入院当初からばらつきがみられ, 意識レベルや指示に従えるかどうかが改善に寄与することがわかった. 今後は別の検証群を用いたモデルの評価, 今回組み入れていない因子の検討が課題である. |
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ISSN: | 1343-8441 |