II-4-14 療養型病院入院患者の摂食・嚥下機能の病態と臨床経過
【目的】慢性期の摂食・嚥下障害は, 原因疾患の再発・進行, 長期臥床による廃用, 加齢による機能低下や口腔・咽頭・喉頭の解剖学的構造変化, 認知症の進行など摂食・嚥下機能を低下させる増悪因子が多く, より慎重な対応が必要である. 今回, 我々は療養型病院入院患者の慢性期の摂食・嚥下機能の病態と臨床経過について検討したので報告する. 【対象・方法】2007年4月~2008年3月の1年間で, 摂食・嚥下機能の低下を示唆する徴候がみられ, 嚥下造影検査(以下VF検査)を実施した当院入院患者23名(男性11名・女性12名)を対象とした. 年齢は, 平均71.7歳(54~93歳)であった. 疾患の内訳は...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2008, Vol.12 (3), p.388-388 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】慢性期の摂食・嚥下障害は, 原因疾患の再発・進行, 長期臥床による廃用, 加齢による機能低下や口腔・咽頭・喉頭の解剖学的構造変化, 認知症の進行など摂食・嚥下機能を低下させる増悪因子が多く, より慎重な対応が必要である. 今回, 我々は療養型病院入院患者の慢性期の摂食・嚥下機能の病態と臨床経過について検討したので報告する. 【対象・方法】2007年4月~2008年3月の1年間で, 摂食・嚥下機能の低下を示唆する徴候がみられ, 嚥下造影検査(以下VF検査)を実施した当院入院患者23名(男性11名・女性12名)を対象とした. 年齢は, 平均71.7歳(54~93歳)であった. 疾患の内訳は, 脳血管障害17例, 脳挫傷4例, 脊髄小脳変性症1例, 食道裂孔ヘルニア1例であった. 発症経過年数は平均7.2年であった. 摂食・嚥下機能の病態を明らかにするため, VF検査で誤嚥の有無を判定して2群に分け, 比較分析した. 調査項目として, 嚥下スクリーニングテスト(RSST, MWST), SpO2, 食事観察, VFによる構造・動態の分析, 血清アルブミン値, 座位保持能力, 自力摂取能力, 知的能力(HDS-R), 神経学的所見(頭部CT画像)を比較した. さらに治療・管理上の対応を含めた臨床経過について, カルテからretrospectiveに調査した. 【結果・考察】誤嚥(+)群11名中5名は不顕性誤嚥や咳嗽反射の遅延も認め, 気道防御能力が低下していた. また誤嚥(-)群12名中7名にも喉頭内侵入を認めた. これらの異常所見に麻痺や身体運動能力の低下に起因する二次的な咽頭・喉頭の解剖学的構造変化も関与していた. また誤嚥(+)群はHDS-R低スコアや施行不可能な者が多く, 食欲・食事量が低下して低栄養に陥りやすく, 認知症の進行も摂食機能に影響を及ぼしていた. 治療上の対応としては, 脱水や栄養障害に対する経管・静脈栄養による速やかな対応が最も重要であった. |
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ISSN: | 1343-8441 |