I-P5-6 気管切開を行った口腔領域腫瘍術後患者における咳テストの有用性

【目的】気管切開は咳反射を一時的に低下させ, 不顕性誤嚥を起こす原因の一つと言われているが, 気管切開を行った患者の咳反射の状態と嚥下機能の関係は明らかになっていない. 咳テストは不顕性誤嚥のスクリーニングテストとして有用であり, 簡便な検査法であると報告されている, そこで, 術前と気管カニューレ抜去後の咳反射の状態を咳テストを用いて調べ, 嚥下造影検査の結果と比較したので報告する. 【対象と方法】頭頸部腫瘍患者で, 手術時に気管切開を行なった患者17名. 術前および気管カニューレを抜去した翌日より術前と同程度の時間で咳反射が見られるまで, 超音波式ネブライザを用い1%クエン酸濃度にて咳テス...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2008, Vol.12 (3), p.358-358
Hauptverfasser: 鈴木瑠璃子, 中根綾子, 戸原玄, 村田志乃, 三串伸哉, 大内ゆかり, 若杉葉子, 高島真穂, 梅田慈子, 植松宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】気管切開は咳反射を一時的に低下させ, 不顕性誤嚥を起こす原因の一つと言われているが, 気管切開を行った患者の咳反射の状態と嚥下機能の関係は明らかになっていない. 咳テストは不顕性誤嚥のスクリーニングテストとして有用であり, 簡便な検査法であると報告されている, そこで, 術前と気管カニューレ抜去後の咳反射の状態を咳テストを用いて調べ, 嚥下造影検査の結果と比較したので報告する. 【対象と方法】頭頸部腫瘍患者で, 手術時に気管切開を行なった患者17名. 術前および気管カニューレを抜去した翌日より術前と同程度の時間で咳反射が見られるまで, 超音波式ネブライザを用い1%クエン酸濃度にて咳テストを行い, 咳反応の有無を観察した. また, 術前と術後に嚥下造影検査を施行した. 【結果】術前と気管カニューレ抜去後の咳反応について, 1名を除き咳反応の有無は変化しなかった. 咳反射が生じるまでの時間の変化については術後延長傾向がみられ, 女性では有意差がみられた. 術前と同程度の時間で咳反射が生じるまでの日数は平均8.3±6.7日であった. 【考察】咳反応の結果より, 気管カニューレ抜去後女性は咳反射が生じるまでの時間が延長する傾向がみられたが, 性差は明らかにできなかった. しかし, 気管切開を行っても咳テストにより誘発される咳反射そのものが喪失するようなことはなく, 咳反射の感受性が低下するだけであることが推測された. 低下した感受性が回復するまでに1週間前後かかることが示唆された. 嚥下造影検査との比較においては, 術後に不顕性誤嚥であった6名中4名で咳反応がみられた. 中には喫煙者も含まれており, その因果関係は明らかになってはいない. しかし気管切開を行った患者の不顕性誤嚥を咳テストでスクリーニングすることは困難であり, 気管切開患者においては術前の咳テストの結果が重要と考えられた.
ISSN:1343-8441