在宅および施設入居摂食・嚥下障害者の栄養摂取方法と嚥下機能の乖離

【目的】在宅および施設入居の摂食・嚥下障害者に対する訪問歯科診療で嚥下内視鏡検査(VE:Videoendoscopic evaluation of swallowing)を施行し,栄養摂取方法に関する問題点を検討した.【対象と方法】訪問歯科診療でVEを希望した在宅または施設入居の摂食・嚥下障害者265名 (男性139名,女性126名,平均年齢75.5歳).(1) 検査時および検査で推奨された栄養摂取方法,(2) (1)で検討した現在の栄養摂取方法と推奨される栄養摂取方法の不一致例と,誤嚥性肺炎の既往の関係,を検討した.栄養摂取方法は,経管栄養のみ,経口<経管,経口>経管,経口調整要,経口調整不...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2008/08/31, Vol.12(2), pp.101-108
Hauptverfasser: 服部, 史子, 戸原, 玄, 中根, 綾子, 大内, ゆかり, 後藤, 志乃, 三串, 伸哉, 若杉, 葉子, 高島, 真穂, 小城, 明子, 都島, 千明, 植松, 宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】在宅および施設入居の摂食・嚥下障害者に対する訪問歯科診療で嚥下内視鏡検査(VE:Videoendoscopic evaluation of swallowing)を施行し,栄養摂取方法に関する問題点を検討した.【対象と方法】訪問歯科診療でVEを希望した在宅または施設入居の摂食・嚥下障害者265名 (男性139名,女性126名,平均年齢75.5歳).(1) 検査時および検査で推奨された栄養摂取方法,(2) (1)で検討した現在の栄養摂取方法と推奨される栄養摂取方法の不一致例と,誤嚥性肺炎の既往の関係,を検討した.栄養摂取方法は,経管栄養のみ,経口<経管,経口>経管,経口調整要,経口調整不要の5段階で評価した.【結果】(1) 検査で栄養摂取方法を上げるべきと考えられた例の多くは,経管栄養のみレベルから,経口<経管レベルへの移行が推奨された例であった.下げるべきと考えられた例の多くは,経口調整不要レベルから,水分とろみ付けなどの経口調整要レベルへの移行が推奨された例であった.(2) 栄養摂取方法を上げるべきと考えられた例のうち,経管栄養のみレベルから経口<経管レベルへの移行が推奨されたものに,肺炎の既往を多く認めた.経口調整要および不要レベルのうち,検査により経口<経管もしくは経管栄養のみレベルと評価された例にも肺炎の既往を多く認めた.【考察】(1) 嚥下機能検査を受けないまま,実際の嚥下機能を過小評価,または過大評価されている例が多く,摂食・嚥下機能と栄養摂取方法が乖離している現状が把握された.(2) 実際の嚥下機能ではなく,誤嚥性肺炎の既往が栄養摂取方法の選択に大きく関与していることが示唆された.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.12.2_101