II-P2-5 食道入口部開大不全例において, 食物の食道入口部通過側が患側, 健側, 患側と移行した1症例

「はじめに」多発脳神経炎により食道入口部開大不全が認められ, 食物の食道入口部通過側が患側, 健側, 患側と移行した症例を経験したため, 報告する. 「症例」82歳, 女性. 2006年4月16日左側に強い球麻痺を主症状とする多発脳神経炎を発症, 前医に加療された. 前医でのVF検査では, 下咽頭への送り込み側(以下, 送り込み側)は患側(左側), 食物の食道入口部通過側(以下, 通過側)は患側(左側)優位であった. 2006年5月10日当院入院, 運動機能, 精神機能ともに問題なく, 食事以外ADL自立. 体幹は胸椎側弯(左に突), 立位時の重心が左側へ偏位. 安静時, 左側軟口蓋下垂. 認...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2007, Vol.11 (3), p.360-360
Hauptverfasser: 井上浩明, 三石敬之, 矢野和美, 高橋梨奈, 福原幸, 中屋美智子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」多発脳神経炎により食道入口部開大不全が認められ, 食物の食道入口部通過側が患側, 健側, 患側と移行した症例を経験したため, 報告する. 「症例」82歳, 女性. 2006年4月16日左側に強い球麻痺を主症状とする多発脳神経炎を発症, 前医に加療された. 前医でのVF検査では, 下咽頭への送り込み側(以下, 送り込み側)は患側(左側), 食物の食道入口部通過側(以下, 通過側)は患側(左側)優位であった. 2006年5月10日当院入院, 運動機能, 精神機能ともに問題なく, 食事以外ADL自立. 体幹は胸椎側弯(左に突), 立位時の重心が左側へ偏位. 安静時, 左側軟口蓋下垂. 認知期・準備期・口腔期問題なし. VF検査にて, 食道入口部開大不全を主とする球麻痺症状が認められた. 送り込み側はやや患側(左側)優位, 通過側は健側(右側)優位であった. 食事内容は, 朝・昼は主食が全粥, 副食はとろみ付・細きざみ設定にて半分量を経口摂取, 夕INEおよび補食であり, 水分には増粘剤3ccを添加した. 嘔吐反射が強く, バルーン拡張法の使用が困難であったため, 頭部挙上訓練を中心とした間接訓練を実施した. 結果, 約1ヵ月後のVF再検査にて, 食道入口部開大機能およびその他嚥下機能の改善が認められた. 送り込み側は患側(左側)優位, 通過側は患側(左側)優位であった. 2ヵ月後, 退院時の食事内容は, 3食常食の全量設定となり, 藤島の嚥下Gr5から8と改善した. 「考察」通過側移行の原因として, 輪状咽頭筋協調不全や口蓋筋・咽頭収縮の左右差が推測されており, 本症例もその影響が大きいと考える. その他の原因として, 舌骨・喉頭挙上筋群の左右差を考えた. すなわち, 左側に側彎したアライメントにて頭部挙上を実施することにより, 右側舌骨・喉頭挙上筋群の筋トーヌスが亢進し, 左右の可動域に左右差が生じたため, 左側に移行したと推測する.
ISSN:1343-8441