II-5-8 頭頚部腫瘍術後患者における食道入口部食塊通過側の検討-頚部郭清術と食道入口部食塊通過側との関連

「目的」頭頚部腫瘍術後の嚥下障害患者ではしばしば食道入口部食塊通過側に左右差を認め, 頚部回旋や一側嚥下などの代償法がその改善に有用である. 前回我々は, 舌切除症例を含む頭頚部腫瘍術後患者における頚部郭清術の方向および舌切除範囲と食道入口部(以下UES)食塊通過側との関連ついて検討し, 片側頚部郭清術施行患者において頚部郭清術の方向と食塊通過側が一致する傾向を示唆した. しかし舌切除症例を多く含んでいたため, 舌による食物移送の影響を考慮する必要があった. そこで今回は舌切除を行わない頭頚部腫瘍術後患者において, 頚部郭清術がUES食塊通過側に及ぼす影響について検討した. 「対象と方法」対象...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2007, Vol.11 (3), p.338-338
Hauptverfasser: 高島真穂, 戸原玄, 後藤志乃, 中根綾子, 大内ゆかり, 三串伸哉, 若杉葉子, 植松宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」頭頚部腫瘍術後の嚥下障害患者ではしばしば食道入口部食塊通過側に左右差を認め, 頚部回旋や一側嚥下などの代償法がその改善に有用である. 前回我々は, 舌切除症例を含む頭頚部腫瘍術後患者における頚部郭清術の方向および舌切除範囲と食道入口部(以下UES)食塊通過側との関連ついて検討し, 片側頚部郭清術施行患者において頚部郭清術の方向と食塊通過側が一致する傾向を示唆した. しかし舌切除症例を多く含んでいたため, 舌による食物移送の影響を考慮する必要があった. そこで今回は舌切除を行わない頭頚部腫瘍術後患者において, 頚部郭清術がUES食塊通過側に及ぼす影響について検討した. 「対象と方法」対象は, 舌切除を行わずに片側頚部郭清術を行い, 術後に摂食・嚥下障害を疑われて嚥下造影検査(VF)を行った頭頚部腫瘍術後患者16名(男性5名, 女性11名, 平均年齢67.3歳). 対象者は全て, 術前VFにおいてUES両側通過であった. 原発部位は舌4名, 下顎歯肉4名, その他2名, 手術からVF検査までの平均日数は23.4日であった. 2名の歯科医師がVF正面像より食塊通過側を判定し, 頚部郭清術とUES食塊通過側との関連について検討した. 「結果」片側頚部郭清術を行った対象者全員の食塊通過側を検討したところ, 食塊は患側を優位に通過する事が示された. 一方, 術式との関連については, 上頚部, 機能的もしくは全頚部郭清術を行った場合において頚部郭清術の術式による食塊通過側に差は認められなかった. 「考察」片側頚部郭清術施行患者では健側の舌骨や喉頭の位置が高いこと, 健側の咽頭収縮が大きいことなどから, 食塊が患側の咽頭壁およびUESを優位に通過するものと考えられた.
ISSN:1343-8441