II-4-7 急性期頸髄損傷患者に対する早期嚥下訓練

「目的」頸髄損傷患者にとって摂食は残された楽しみの一つである. しかし急性期重症例では気管切開, 人工呼吸管理, 頸椎固定が嚥下障害危険因子と指摘されており, 嚥下障害を伴う患者の訓練開始が困難な場合が多い. 転院先で十分な訓練が望めない場合もあり, 急性期病院での積極的な訓練が期待されるがその報告は少ない. そこで今回早期から訓練を開始し経口摂取の可能性を検討した. 「対象」症例1. 58歳男性. 平成18年7月ワイヤーと壁に挟まれ受傷. C5後方脱臼, ASIA分類A, C6以下の完全麻痺, 左頸部裂創. 受傷2週後ST開始. 症例2. 65歳男性. 平成19年2月受傷機転不明. C4後方...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2007, Vol.11 (3), p.324-324
Hauptverfasser: 坂本佳代, 田上正茂, 石井由起, 内川委子, 小林寛子, 前薗昭浩, 桑本健太郎, 浅井亨
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」頸髄損傷患者にとって摂食は残された楽しみの一つである. しかし急性期重症例では気管切開, 人工呼吸管理, 頸椎固定が嚥下障害危険因子と指摘されており, 嚥下障害を伴う患者の訓練開始が困難な場合が多い. 転院先で十分な訓練が望めない場合もあり, 急性期病院での積極的な訓練が期待されるがその報告は少ない. そこで今回早期から訓練を開始し経口摂取の可能性を検討した. 「対象」症例1. 58歳男性. 平成18年7月ワイヤーと壁に挟まれ受傷. C5後方脱臼, ASIA分類A, C6以下の完全麻痺, 左頸部裂創. 受傷2週後ST開始. 症例2. 65歳男性. 平成19年2月受傷機転不明. C4後方脱臼, ASIA分類A, C5以下の完全麻痺. 受傷4週後ST開始. 2例とも気管切開後人工呼吸管理, ハローベスト装着. 「方法」初回評価は飲水テスト, 全身状態をみてVF評価を実施. STと連携しPTが体位調整とリラクゼーション, 看護師がアイスマッサージ等を実施した. 「結果」症例1. 初回評価は藤島嚥下グレード(以下Gr.)2, 不顕性誤嚥を認めたが医師の監視のもと直接訓練を継続. 受傷4週後VF下で頸部固定角度を調整し喉頭運動が改善. 食道入口部開大不全に対しバルーン法を2週間実施. その2週後Gr.4に改善, ゼリー摂取可能となったが転院にて当院訓練終了. 症例2. 頸椎固定時にSTが介入し, 喉頭挙上が認められるよう角度調整. 初回評価Gr.3, 食道入口部開大不全が疑われミキサー食で訓練を開始. 受傷7週後のVFでは食道入口部開大不全はなく, 骨棘の圧迫による食道残留を認めた. Gr.8とし全粥一口大食に変更, その後転院. 内視鏡検査では2例に共通して顕著な咽頭浮腫を認め, 浮腫による梨状陥凹残留が推察された. 「まとめ」頸部固定角度, 咽頭浮腫が嚥下障害の要因として考えられた. 急性期病院にて, 多部門との連携を図った積極的な嚥下評価, 訓練の重要性が示唆された.
ISSN:1343-8441