II-2-24 脳血管障害患者の少量バリウム反復嚥下法における咽頭期誘発遅延時間と肺炎との関連性
少量反復嚥下における咽頭期誘発遅延時間(PDT)の分析を基に嚥下機能を評価した. 我々はこれまで脳血管障害患者でPDTが次第に延長していく群があることを報告した. 「目的」ビデオ嚥下造影法を用いて脳血管障害患者の少量反復嚥下におけるPDTを解析しPDTの延長と肺炎の関連性について考察した. 「対象と方法」対象は脳血管障害患者37名(平均年齢74.4歳). 被験者には事前に検査内容を説明し同意を得た. (1)車椅子座位の被験者の口腔内に検者が注射器にて口腔内へバリウム1.0mlを注入. (2)験者の合図により口腔内に貯めたバリウムを嚥下させた. (3)嚥下運動終了を確認したのち, すぐに口腔内に...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2007, Vol.11 (3), p.306-306 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 少量反復嚥下における咽頭期誘発遅延時間(PDT)の分析を基に嚥下機能を評価した. 我々はこれまで脳血管障害患者でPDTが次第に延長していく群があることを報告した. 「目的」ビデオ嚥下造影法を用いて脳血管障害患者の少量反復嚥下におけるPDTを解析しPDTの延長と肺炎の関連性について考察した. 「対象と方法」対象は脳血管障害患者37名(平均年齢74.4歳). 被験者には事前に検査内容を説明し同意を得た. (1)車椅子座位の被験者の口腔内に検者が注射器にて口腔内へバリウム1.0mlを注入. (2)験者の合図により口腔内に貯めたバリウムを嚥下させた. (3)嚥下運動終了を確認したのち, すぐに口腔内にバリウムを注入し同様の手順で嚥下を反復させた. 反復させた嚥下回数は最大10回までとした. (4)PDTに延長を見た場合1.0mlに続いて2.5mlも同様に数回施行した. (5)VF側面像でバリウム塊の先端が舌根と下顎骨の交点に達した時点から舌骨の挙上が開始するまでをPDTとし, 1/30秒単位で計測した. (6)PDTの時間的推移よりタイプ分類した. (7)タイプ別に肺炎の既往について検討した. 「結果」(1)バリウムの少量反復嚥下にて検討したPDTの推移より3群に分類された. A群(PDTの遅延なし)は17名, B群(PDTが徐々に遅延)は17名, C群(PDTの遅延があるが一定の傾向なし)は3名であった. (2)バリウム1.0mlの嚥下でPDTの延長を見たB・C群ともに2.5mlの嚥下ではPDTは短縮し1.0mlでの開始時のレベルに戻った. (3)肺炎の既往があったのはA群17名中2名, B・C群を合わせたPDT延長群では20名中9名であり, B・C群を合わせた群の肺炎発症の既往はA群よりも有意に多かった. 「考察」1.0mlの反復嚥下でPDTが延長するグループにおいて肺炎の発症例を多く認めた. また, 2.5mlの反復嚥下ではPDTの延長は観察されなかった. この結果は臨床的に食事摂取時以外にも少量の唾液や鼻汁が不顕性に誤嚥され, 肺炎を引き起こす可能性を示唆した. |
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ISSN: | 1343-8441 |