II-2-15 病病連携により脳腫瘍術後の重度嚥下障害を克服した症例
「目的」脳腫瘍術後の後遺症による下位脳神経障害から重度嚥下障害を呈したが, 病病連携により経口摂取自立となった症例を経験したので報告する. 「症例」28歳男性. 都内在住会社員. 平成17年7月A大学病院にて右錐体骨腫瘍と診断, 同年10月24日に気管切開, 腫瘍摘出術を施行. 術後に右側のVI~XII脳神経麻痺を認めた. 半固形物の経口摂取を開始したが気管孔から食物が喀出されて摂取困難. 平成17年12月19日, カフ付き高研カニューレ装着, 鼻腔経管栄養の状態で本院に転院. 四肢の麻痺はなく, 食事が全介助である以外ADLはすべて自立. コース立方体IQ122. 「経過」当院では3回のVF...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2007, Vol.11 (3), p.302-302 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「目的」脳腫瘍術後の後遺症による下位脳神経障害から重度嚥下障害を呈したが, 病病連携により経口摂取自立となった症例を経験したので報告する. 「症例」28歳男性. 都内在住会社員. 平成17年7月A大学病院にて右錐体骨腫瘍と診断, 同年10月24日に気管切開, 腫瘍摘出術を施行. 術後に右側のVI~XII脳神経麻痺を認めた. 半固形物の経口摂取を開始したが気管孔から食物が喀出されて摂取困難. 平成17年12月19日, カフ付き高研カニューレ装着, 鼻腔経管栄養の状態で本院に転院. 四肢の麻痺はなく, 食事が全介助である以外ADLはすべて自立. コース立方体IQ122. 「経過」当院では3回のVFと訓練の結果術後4ヶ月までで楽しみ程度のゼラチンゼリー摂取が可能となった. しかし経口での栄養摂取が困難で主治医から胃瘻の提案もあったが, 経口栄養の希望が強かったため複数の医療施設に相談した. 当院と同じ意見が多かったが, その中で山形県B病院医師が3月13日に往診, 経口摂取が可能になると診断され, 指導により見守りでの開始食~嚥下食Iの経口摂取が可能となった. 4月26日経口摂取自立を目的にB病院に転院. 当院STが研修に出向き退院後の管理について相談し, 8月1日全粥, ペースト食摂取自立にて本院に再度転院となった. 10月25日軟菜食の食形態にて自宅に退院. その後も当院で外来, 入院管理を継続する中で2院所間の連携を継続し, 平成19年4月23日気管切開孔閉鎖に至った. 現在も食事内容の改善を目指して管理を続けている. 「考察」症例を経口摂取自立困難と判断した場合, より専門的な治療を行っている医療施設に相談することが重要である. また, 今回の症例のように, 地理的に離れ面識もなかった医師, 病院とも, 連携を取ることのできる柔軟な体制を持つことが必要である. そのような病病連携を行える体制の有無が, 時に患者の予後に大きく影響する. |
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ISSN: | 1343-8441 |