嚥下障害リハビリテーションにおける看護師の役割
東京都リハビリテーション病院では回復期リハビリテーション病棟を持っており, 嚥下障害への医療, リハビリも積極的におこなっています. 回復期病棟で嚥下障害にかかわる看護師の役割について私の考えていることを述べたいと思います. 当院では経管栄養で入院してきた人が, 口から食べられるようになって退院するケースがほとんどですが, チューブ栄養のまま帰る人も時に存在します. 嚥下障害がある方の最終目標は口からおいしくすべての食事が取れることであることはいうまでもありません. しかし, すべてのケースでそれが実現するわけではありません. 経口摂取ができるようになっても, 特殊な食形態であったり, 摂食に...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 東京都リハビリテーション病院では回復期リハビリテーション病棟を持っており, 嚥下障害への医療, リハビリも積極的におこなっています. 回復期病棟で嚥下障害にかかわる看護師の役割について私の考えていることを述べたいと思います. 当院では経管栄養で入院してきた人が, 口から食べられるようになって退院するケースがほとんどですが, チューブ栄養のまま帰る人も時に存在します. 嚥下障害がある方の最終目標は口からおいしくすべての食事が取れることであることはいうまでもありません. しかし, すべてのケースでそれが実現するわけではありません. 経口摂取ができるようになっても, 特殊な食形態であったり, 摂食に特別な配慮が必要だったりすることもあります. 病院の中で, いかに実現できたとしても, それで完結ではありません. 退院するときに, 患者も医療者も満足度は上がりますが, 患者の帰るホームグラウンドでその後の長い人生で活かしていけるかどうかが重要です. たとえば, 病院というかなり完成度の高い環境の中で最大の力を出して3食食べられるようになったとしても, 退院後に誤嚥性肺炎を起こしたり, 低栄養状態になったりということが起きては病院でのリハビリは意味のないものになってしまいます. もちろん入院中に退院後の生活を想定して, 十分な説明, 必要な指導をしますが, 日常生活の中の当たり前と思われている食事の場面ではそのとおりに完璧に遂行できないことがあるかもしれないことは予測すべきでしょう. そういう事態を避けるために, 患者が何を望んでいるのか, QOLを考慮しつつ安全を第一に考えるのも看護師の重要な役割だと考えます. そのために必要なのは, 地域との連携です. 情報が十分に共有できるネットワークが必要です. 病院・施設間の医療連携は構築されつつありますが, 看護レベルでのネットワークは十分ではありません. 患者中心のためのネットワーク作りが急務です. そして, 患者自身の意識です. 障害も持ったという予期せぬ出来事にどう立ち向かうか, ポジティブに考えられるような情報提供, 健康教育, ヘルスプロモーションも効果があると考えます. 3食を口から食べられるようになることだけがゴールではなく, 一時の満足感だけではなく患者自身の生活を見据えることこそが患者の一番身近にいる看護師の役割ではないでしょうか. 嚥下障害の看護については院内研修でも力を入れていますが, 患者の安全と尊厳を守った健康生活を第一優先にしつつ, 最大限のケアを提供すること, 生活の視点でサポートをすることが専門職である看護師の役割であると考えます. 摂食・嚥下リハビリテーションの普及・推進のために看護師に期待される役割は大きく, 今後ますます在宅支援, 医療倫理の面からも重要だと思われます. |
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ISSN: | 1343-8441 |