(II-P5-13)顔面神経麻痺者がスプーンから食物を取込む時の口唇圧の測定
【研究目的】口唇は最初に働く摂食器官であるが, その動態の定量的な評価の報告は少ない. 今回我々は口唇閉鎖圧の測定を行なったので報告する. 【研究方法】対象は顔面神経麻痺を呈し, 研究参加への同意が得られた者である. スプーンの裏面にセンサーを張り付け, 6種類の試料(ジュース, とろみ付ジュース, ゼリー, 粥ペースト, 粥, 米飯)を載せて固定し, 口唇のみを用いて取込ませ, 嚥下せずに吐出させた. 同一試料を3回測定し, その順番は対象者毎に無作為化した. また一部の対象者で, 試料を載せずに最大の力をかけて取込み動作を行なわせ, 口唇圧を測定した. 【研究結果】対象数は9名で男性6名,...
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Zusammenfassung: | 【研究目的】口唇は最初に働く摂食器官であるが, その動態の定量的な評価の報告は少ない. 今回我々は口唇閉鎖圧の測定を行なったので報告する. 【研究方法】対象は顔面神経麻痺を呈し, 研究参加への同意が得られた者である. スプーンの裏面にセンサーを張り付け, 6種類の試料(ジュース, とろみ付ジュース, ゼリー, 粥ペースト, 粥, 米飯)を載せて固定し, 口唇のみを用いて取込ませ, 嚥下せずに吐出させた. 同一試料を3回測定し, その順番は対象者毎に無作為化した. また一部の対象者で, 試料を載せずに最大の力をかけて取込み動作を行なわせ, 口唇圧を測定した. 【研究結果】対象数は9名で男性6名, 女性3名, 平均年齢は56.7歳, 麻痺側は右が6名, 左が3名(何れも中枢性麻痺)であった. 食材毎にピーク荷重値(荷重値の最大値), その比率(非麻痺側/麻痺側)及び荷重積分値(取込み開始から終了までの荷重値を合計したもの)の比率(非麻痺側/麻痺側)を算出した. ピーク荷重値は0.04kgから0.20kg(平均値0.078kg), ピーク荷重値比率は0.33から5.00(比率1以上であった者の平均値は2.77), 荷重積分値比率は0.13から30.9(同じく11.66)であった. 食材毎の比較で一定の傾向は見られなかった. 9名中8名でピーク荷重値比率が最大となった試料と荷重積分値比率が最大となった試料が一致した. 最大圧の測定を行なったのは5名で, ピーク荷重値は0.07kgから0.30kg, ピーク荷重値比率は0.86から3.50, 荷重積分値比率は0.57から10.31の間に分布した. 【考察】ピーク荷重値と荷重積分値は, 9名中7名で非麻痺側が麻痺側よりも高値を示し, その比率が, 顔面神経麻痺の重症度をある程度定量的に表しているものと思われた. 【結語】スプーンを用いた取込み時の口唇圧の測定を行い, 口唇機能の定量的な評価への端緒とした. |
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ISSN: | 1343-8441 |