(II-7-14)ハイリスクな球麻痺による重度嚥下障害へのアプローチ~持続唾液吸引の工夫とOE法から経口摂取自立にいたるまでの看護実践
嚥下障害治療の過程で肺炎を防ぐことは重要な課題である. 今回免疫力が低下した患者が球麻痺による重度嚥下障害となった症例を経験し, 細心の注意と工夫で亜急性期を乗り切ることが出来たので報告する. 患者は67歳女性, 転院時発症一ヶ月目の延髄左外側梗塞に伴う重度球麻痺により経口摂取不能であった. 慢性関節リウマチの治療のため長期にステロイドを内服していた. VFで左食道入口部開大不全が著明で喉頭挙上はかなり弱かった. VEで左声帯は正中で固定しており, 唾液の持続的誤嚥を認めた. 入院時CRP8.5, 胸部単純写真で両側下肺野に肺炎を認めた. 唾液コントロールのため気管切開を要すると判断されたが本...
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Zusammenfassung: | 嚥下障害治療の過程で肺炎を防ぐことは重要な課題である. 今回免疫力が低下した患者が球麻痺による重度嚥下障害となった症例を経験し, 細心の注意と工夫で亜急性期を乗り切ることが出来たので報告する. 患者は67歳女性, 転院時発症一ヶ月目の延髄左外側梗塞に伴う重度球麻痺により経口摂取不能であった. 慢性関節リウマチの治療のため長期にステロイドを内服していた. VFで左食道入口部開大不全が著明で喉頭挙上はかなり弱かった. VEで左声帯は正中で固定しており, 唾液の持続的誤嚥を認めた. 入院時CRP8.5, 胸部単純写真で両側下肺野に肺炎を認めた. 唾液コントロールのため気管切開を要すると判断されたが本人の拒否で自己吸引とOE法, バルーン訓練など保存的な治療を開始した. 転院9日目に肺炎が増悪したためOE法を一時中断し抗生剤による治療を施行された. 日中の唾液吸引は出来ていたが, 夜間の唾液誤嚥が肺炎の原因ではないかと診断された. ハイリスク患者であったことから唾液誤嚥を徹底して減らすため転院18日目から夜間の持続唾液吸引を開始した. 市販の吸引チューブを使用したが粘性の唾液ではすぐに詰まってしまった. そこで12Frのチューブを渦巻状に接着して大き目の穴を10箇所に開けたものを自作して用いたところチューブが詰まることなく持続的に唾液を吸引することができた. 持続吸引を開始してからは発熱なく経過した. 発症3ヶ月でのVFでは喉頭挙上の改善は見られたものの左食道入口部開大不全は著明で代償が難しかった. 右食道入口部の通過が良好だったため, 体幹30度で右下側臥位での経口摂取自立を目指すこととなった. 発症4ヶ月目に自分で体位をとり, 左上肢での摂取で水分, ミキサー食, 全粥を摂取できるようになったためOE法が終了できた. お茶などの座位での摂取も可能となり自宅退院が可能となった. 更なる改善を目指し, 外来で治療継続予定である. |
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ISSN: | 1343-8441 |