(I-8-3)食事姿勢改善の取り組み-屈曲パターンの強い一症例
【はじめに】当施設は定員50名の特別養護老人ホームで, 入所者の平均年齢は85.9歳, うち, 脳卒中の既往歴は31名(62%). その多くは発症からの長期経過の中で, 加齢による身体機能の低下と, 廃用性の2次障害が加わり, 食事姿勢に問題を持つケースが多い. 今回, 全身の強い屈曲パターンを呈する症例に対する食事姿勢改善のチームアプローチを報告する. 【症例】74歳, 男性. 2000年(68歳)脳出血発症し左片麻痺を呈す. 在宅経過後, 2004年8月当施設に入所. 入所時, ADLは背もたれにてかろうじて坐位保持可, 移動は車椅子自走, トイレ動作一部介助, 着替え全介助, 食事動作は...
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Zusammenfassung: | 【はじめに】当施設は定員50名の特別養護老人ホームで, 入所者の平均年齢は85.9歳, うち, 脳卒中の既往歴は31名(62%). その多くは発症からの長期経過の中で, 加齢による身体機能の低下と, 廃用性の2次障害が加わり, 食事姿勢に問題を持つケースが多い. 今回, 全身の強い屈曲パターンを呈する症例に対する食事姿勢改善のチームアプローチを報告する. 【症例】74歳, 男性. 2000年(68歳)脳出血発症し左片麻痺を呈す. 在宅経過後, 2004年8月当施設に入所. 入所時, ADLは背もたれにてかろうじて坐位保持可, 移動は車椅子自走, トイレ動作一部介助, 着替え全介助, 食事動作は右手にスプーンを持ち自立も, 骨盤後傾と円背が強まり, 左麻痺側体幹の崩れに伴う非対称性も増悪し, 頭頸部は非対称な前屈位となって, 上肢と口腔の運動を妨害. このため, 食効率は悪く, 1回の食事所要時間は40分~45分を要していた. 【治療的取り組み】2005年9月よりOT, CWにより日常の姿勢改善に取り組み, 特に食事姿勢の改善に努力した. グループ3施設の合同摂食・嚥下症例検討会の対象症例にも挙げ, 食事姿勢改善の方策を討議し, 試行. 食前の準備として, 運動療法を取り入れて体幹の対称的な伸展を促し, 骨盤の後傾の減少を図り, 改善の不充分さを車椅子のポジショニングで補った. 即ち坐面を広く作り足して, 体重の支持基底面を広げ, 上肢のポジショニングで体幹の伸展保持と肩甲帯の安定, 頭頸部と上肢の体幹からの分離を図った. 【結果】7ヶ月の取り組みの結果, 食事時間中, 対称的な良姿勢保持が可能となり, 食事所要時間は20分と短縮. 【考察】本症例の食事姿勢改善の取り組みでは, スタッフが共通の認識とハンドリング技術の共有・実行というチームアプローチが有効であった. その背景には自分たちの言葉で理念を考え, オムツ・ゼロを3ヶ月の短期間で実現するなど, チームとしての成熟の歴史があった. |
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ISSN: | 1343-8441 |